ローゼンブラットのパーセプトロン(2)
ローゼンブラットのパーセプトロン
の学習能力について考察します。パーセプトロンの入力パターン)の種類が全部で個あるとします。そしてそれらをで表します。の全体集合を考えます。の部分集合を考えます。ただしです。そして部分集合は互いに共通要素を持たないとします。このパーセプトロンの出力がパターン群にのみ反応し、がパターン群にのみ反応し、・・・・がパターン群にのみ反応し、・・・・がパターン群にのみ反応するように、パーセプトロンを学習させたいとします。この学習が可能かどうかを検討します。
番目の入力パターンは真ん中の層によってに変換されるとします。するとこのパターンも個あることになり、それぞれはと表すことにします。ただし、でになる可能性もあります。の全体集合を考えます。に属するが変換された結果、生成されるの集合をとします。の補集合をで表します。さてとが線形分離可能でなければ、ニューロンはを認識するように学習させることは出来ません。しかし、を真ん中の層がに変換する際に、必ずとが線形分離可能になるように変換することは出来ないでしょうか? もしこれが出来ればこのパーセプトロンはに属するについてだけが1を出力し、他のは0を出力するように学習出来ることになります。しかしこれは容易なことではありません。というのは、にどのを含ませるかは任意ですので、そのあらゆる場合についてとが線形分離可能になるようにしなけばなりません。そんなことが可能でしょうか?
ここで注意しなければならないことは、の次元との次元が異なるということです。の次元をいくらでも大きくすることは可能です。つまり、真ん中の層のニューロンの数を増やせばよいのです。ここでを入力パターンの数と等しくとることにしましょう。そしては、かつ、であるについてはであるようなに変換されるとします。このような変換は、
- の時
- ・・・・(5)
- の時
- ・・・・(6)
- ・・・・(7)
とすることで実現します。これを確かめてみましょう。式(5)(6)から
なので
よって
- ・・・・(8)
となるので、となります。次にがであるとしてこのニューロンにパターンを入力した時を考えます。なのでであるようなが存在します。これはかつの場合とかつの場合があります。もしかつであるとすると、
一方と式(5)から。よって
よって
- ・・・・(9)
が成り立ちます。次にかつであるとすると、と式(6)から。よって
一方、
よって、この場合も式(9)が成り立ちます。よってとの間で値の異なる成分の個数をとすると
- ・・・・(10)
となります。式(10)と(8)から
よって
- ・・・・(11)
は1以上なので、
- ・・・・(12)
よってとなります。つまり、ニューロンは入力パターンのみに反応することが分かります。このことは真ん中の層の他のニューロンにも言えることなので、であるニューロンはにのみ反応しには反応しません。よってです。よっては真ん中の層によって、かつ、であるについてはであるようなに変換されることが分かります。