2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

場を立ち上げたい!

梅田望夫氏の「【第五回】 「普通であること」に埋没しない個を」にこんな一節が出てきて、私の心にひっかかりました。 いま、ネット上で技術的イノベーションを起こしているのは、宗教的熱狂を伴った志向性の共同体です。自分が面白いと思ったことを面白い…

エルゴード性が登場してうれしい!

ほとんど自分でウケているだけなのですが、この工場統計力学にも「PASTA(3)」「PASTA(4)」でエルゴード性が登場して、統計力学の名前に近づいたな、とうれしく思っています。実務家としてはエルゴード性に深入りするのは労多くて益少なしと…

さくらぐるい

桜が咲いているのを見るとビールが飲みたくなるビョーキな私。 * * ここんところ、地母神の迷宮をめぐっているようで、変なことがいろいろ起きる。私の大好きだったある桜の木。ゆえあって、その木が花を咲かせているのを見ることは、もうないだろうと思っ…

現実的なワーストケースの式への疑問(4)

「時間平均と到着時平均」「PASTA(1)」〜「PASTA(5)」によって「現実的なワーストケースの式への疑問(3)」で提出した疑問 ジョブがラインに到着した時のWIPを多数のジョブについて記録するとする。 その際、到着したジョブはWIPに…

PASTA(5)

「PASTA(4)」の続きです。の定義から ・・・・(7) です。式(1)を再度、示します。 ・・・・・・(1) 式(7)を用いると よって ここで式(6)を用いると ・・・・・・(8) の定義から この両辺をで割って、とすれば ・・・・・・(9) …

PASTA(4)

「PASTA(3)」の続きです。条件確率の定義式 ただしは「かつ」の確率を表すとします。 から、 [tex:P(W(t)=k|A(s);t ところが到着は「ポアソン分布」なので、よりのちの到着の確率はより以前の確率と「独立」です。よって [tex:P(W(t)=k,A(s);t よっ…

ビジネス脳はどうつくるか

ビジネス脳はどうつくるか作者: 今北純一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/11/14メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (16件) を見るこれを買ったのはおととしの秋で、梅田望夫氏のブログ「My Life Between Silicon Valley an…

PASTA(3)

「PASTA(2)」の続きです。 さて、もう一度、1からまでのについて考えます。この中で の値が0であるようなの個数を、 の値が1であるようなの個数を、 の値が2であるようなの個数を、 ・・・・・ で表すとします。そうすると になります。ここで を考…

PASTA(2)

「PASTA(1)」の続きです。ではPASTAの証明を試みます。 まずWIPを時間の関数としてと表します。しかしWIPは確率的に変化する関数ですので、時刻を固定してもWIPは固定せず、一種の確率変数になっています。 言いたいのはこういうこと…

PASTA(1)

PASTAというのは、Poisson Arrival See Time Averageの略で、「ポアソン分布の到着は時間平均を見ることになるだろう」ということを主張する定理です。これの意味するところについては「時間平均と到着時平均」で述べた例を元に説明していきたいと思い…

時間平均と到着時平均

「現実的なワーストケースの式への疑問(3)」の最後で、待ち行列のWIPのはWIPの時間平均とジョブ到着時の平均が一致するかどうか、という問題を提示しました。この問題の意味するところをもう少し掘り下げたいと思います。 まず、処理時間が4分の装…

幕末の天皇

幕末の天皇 (講談社選書メチエ)作者: 藤田覚出版社/メーカー: 講談社発売日: 1994/09/05メディア: ペーパーバック クリック: 10回この商品を含むブログ (9件) を見る幕末の天皇と言えば孝明天皇ですが、この本では孝明天皇とその2代前の光格天皇を取り上げ…

現実的なワーストケースの式への疑問(3)

「現実的なワーストケースの式への疑問(2)」の続きです。 自分があるジョブの上に乗ってラインに到着した時、ラインのWIPは平均になるというのが、 におけるの根拠になっています。そして、なぜ平均がになるかという理由は、自分が乗っているジョブ、…

現実的なワーストケースの式への疑問(2)

「現実的なワーストケースの式への疑問(1)」の続きです。 Factory Physicsで「現実的なワーストケース」の式をどのように導き出しているかということを見ていきます。 現実的なワーストケース(PWC)がどのように動作するのかを理解するために、ライン…

現実的なワーストケースの式への疑問(1)

「直列のジャクソン・ネットワークでX-Factorが一番大きい構成」で、直列のジャクソン・ネットワークでX-Factoerが一番大きい場合には、X-Factoerが となることを導きました。ここで正味の処理時間(ロー・プロセス・タイム)を、サイクルタイムをで表すと …

アイヌ神謡集

アイヌ神謡集 (岩波文庫)作者: 知里幸恵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1978/08/16メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 114回この商品を含むブログ (61件) を見るこの本を読んだ時にその倫理性の高さに感銘を受けました。それを紹介するために、この本に…

直列のジャクソン・ネットワークのX-Factorの例

先行エントリ:直列のジャクソン・ネットワークでX-Factorが一番大きい構成 直列のジャクソン・ネットワークのX-Factoerの例をグラフで示します。構成としては2つのケースを考えました。 ケース1 ケース2 ケース1は2つのステーションからなるラインです…

春になったから

何で上のようなことを書いたのか、と、自らをかえりみて思いついたのは「春になったから」ということ。デーメーテールは大地の実りを司る女神だから、と。 ・・・黒雲まとうクロノスの御子ゼウスと、あまりに際限なく事を構えてはなりません。人間たちの暮ら…

デーメーテール賛歌

今日は、妄想を書きます。 ・・・・昔、自分がギリシアの子供だった頃、吟遊詩人にあこがれていた。どうやったらイーリアスやオデュッセイアをあんなふうに、そらんじて歌うことが出来るだろう、それが出来たらどんなにすてきだろう、と、その一節を語り聞か…

直列のジャクソン・ネットワークでX-Factorが一番大きい構成

先行エントリ:M/M/m待ち行列ののX-Factor 直列のジャクソン・ネットワークでX-Factoerが一番大きい構成はどんな構成になるのでしょうか? この問題を考える時、利用率が大きくなればX-Factoerが大きくなるのはあたりまえなので、利用率を固定してX-Fac…

M/M/m待ち行列ののX-Factor

「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(3)」で導出したようにM/M/m待ち行列での待ち時間は、 ・・・・・・(1) ただし ・・・・・・(2) でした。よってサイクルタイムは ・・・・・・(3) となります。よって、そのX-Factoerは、 ・・・・…

生産システム工学 概要(2)

「概要(1)」につづいて、Manufacturing System Engineeringの概要の紹介です。 第9章は柔軟な生産システムの最も単純なモデルのためのリアルタイム決定アルゴリズムを供給する。そこでは2種類のイベント、処理と装置故障、だけが起る。第10章では、も…

ジャクソン・ネットワークのサイクルタイム(2)

先行エントリ:ジャクソン・ネットワークのサイクルタイム(1) 私は本当は、「ジャクソン・ネットワークのサイクルタイム(1)」で直列ではなくもっと一般的なループの存在するネットワーク形状(半導体ファブのプロセス・フローのように)の場合のサイク…

流転の王妃の昭和史

流転の王妃の昭和史 (新朝文庫)作者: 愛新覚羅浩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1992/03メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (16件) を見る著者の愛新覚羅(あいしんかくら)浩(ひろ)さんは軍部の仕組んだ(私個人としては軍部だ…

シリコンバレー精神

「時たま「ビジョナリーたちの名言」を読みます。」の最後で、調子にのって ゴードン・ベルって知らなかったから、ここにWikipediaのリンクを張っておこう。 と書いてしまった。おととい会社から帰ってきて「シリコンバレー精神」シリコンバレー精神 -グーグ…

ジャクソン・ネットワークのサイクルタイム(1)

先行エントリ:M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2) 「M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2)」で ・・・・・・(1) が明らかになりました。これは、個々のステーションを独立に考えた時の状態確率の積が全体の状態確率になって…

時たま「ビジョナリーたちの名言」を読みます(2)。

文芸春秋 | 梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」 | ビジョナリーたちの名言リンク集 から What gets us up in the morning and keeps us here late at night is technology. From where we sit, advanced technology is everything. ──Jeff Bezos これは…

生産システム工学 概要(1)

今、読んでいる「Manufacturing Systems Engineering」Manufacturing Systems Engineering作者: Stanley B. Gershwin出版社/メーカー: Prentice Hall発売日: 1993/03/01メディア: ハードカバー クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見るのタイトルを…

「クラス」というのはこういうことなのかな?

先行エントリ:M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2) 「M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2)」でジャクソンネットワークにおける積形式解の存在証明が出来ましたが、半導体ファブをジャクソンネットワークでモデル化しようとする…

M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(2)

先行エントリ:M/n一般ネットワークの場合の積形式の証明(1) さて、状態の番目の要素(つまり、ステーションでのロット数)をと表すことにします。そうすると、局所平衡方程式は、 ・・・・・・(6) という形になります。式(5)を式(6)に代入し…