ブログの引っ越しを開始しました。

「はてなダイアリー」が廃止されるらしいので「はてなブログ」に引っ越します。とりあえず、「エーゲ海のある都市の物語」は神話と歴史の間のエーゲ海に再編します。 それにしても「はてなブログ」の使い方がよく分からない。

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(12):最終回。その後のアイギナ

前回の「(11):衰退」で、アイギナの話は終わりにしようと思っていたのですが、そうしたところどうも落ち着きがよくないと感じてきました。どこが変なのか考えてみたところ、現代もアイギナ(現代名エギナ)の町は立派に存在するのに、前回でまるでアイ…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(11):衰退

サラミスの海戦ののち、アテナイはテミストクレスの主導により、さらに海軍力を高めていきスパルタとの間に緊張が走りますが、自分の功績を繰り返し誇示するテミストクレスがアテナイ民衆に嫌われ、陶片追放に会います。テミストクレスに代わってアテナイの…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(10):サラミスの海戦

こうして始まったサラミスの海戦ですが、この海戦で一番活躍したのはアイギナの艦船でした。 (左:サラミスの戦士の像) さてサラミスのペルシア軍艦船の大部分は、アテナイ軍とアイギナ軍のために破壊され航行不能の状態に陥った。ギリシア軍が整然と戦列…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(9):進め、ヘラスの子らよ

やがて2度目のペルシアの侵攻が始まりました。それは前回よりも大規模で、ペルシア王自らが軍を率いていました。テミストクレスは、対アイギナ戦のためにという名目で建造した200隻にのぼる軍船で、ペルシア軍に当ろうと考えます。 これより以前にも一度、…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(8):勝利

アテナイは有名なマラトンの戦いでペルシア軍に大勝します。ペルシアの脅威を除去したアテナイは、親ペルシアのアイギナの現政権を転覆させ、親アテナイの政権を樹立しようとする陰謀を進めました。アテナイ側が目を付けたのは、アイギナで貴族政に反対する…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(7):ペルシアからの服属要求

BC 498年、ミレトスを中心とするエーゲ海東側のギリシア諸都市がペルシアに対して反乱を起こしました(イオニアの反乱)。エーゲ海の西側では、アテナイとエウボイア島のエレトリアがこの反乱に援軍を派遣しました。イオニアの反乱は最終的にはBC 494年にペ…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(6):アイアコス一族の神霊

アイギナの最初の王であったアイアコスとその子孫はアイギナの守り神として崇拝されていました。そしてアイアコスの一族はアイギナ以外の都市国家でも崇拝されていました。そのことが分かる話が以下の伝説です。 BC 507年のことです。テーバイがアテナイと戦…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(5):新興海上勢力として

アイギナはサモスとも不和でした。 アイギナ人がサモス人に対してこのような行為に出たのは、かねて怨恨を抱いていたからである。元はといえばサモス人の方が元凶であって、アンピクラテスがサモスに君臨していた頃、彼らはアイギナを攻めてその住民に多大の…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(4):アテナイとの不和の起源

これは、アイギナとアテナイがどうして敵対関係になったかという話です。この話は、アイギナがエピダウロスから独立する前の頃から始まります。 エピダウロスが穀物の不作に悩んでいたことがあった。そこでエピダウロス人は、この天災についてデルポイの神託…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(3):アイギナ植民

神話によればアイアコスはアイギナの初代の王でした。そしてアイギナの国民(というか都市国家なので市民とも呼ぶことも出来ます)はといいますと、ゼウスがアイアコスのために島にいる蟻を人間に変身させて国民にしたのでした。ギリシア語で蟻のことをミュ…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(2):アイギナの名の由来

アイギナという島の名前は、神話によればアイギナという名前の女性に由来します。「エーゲ海のある都市の物語:テラ(3):エウロペを探すカドモス」で紹介したエウロペという女性がヨーロッパという地名の由来になったのに似ています。そしてエウロペの話…

エーゲ海のある都市の物語:アイギナ(1)

今度はエーゲ海の西側にある島アイギナを取り上げます。この近くにある有名なアテナイをなぜ取り上げないかと言いますと、アテナイの歴史ならばネットに多く存在するからです。私としてはそういう都市は避けて、あまり取り上げられることのない都市について…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(9):最終回:アトランティス?

この頃のテラについて、ギリシア側の伝承は何かないのでしょうか? まず思いつくのはヘロドトスが記している以下の記事です。 現在テラと呼ばれている島は、以前はカリステと呼ばれていたがこれは同じ島で、当時はフェニキア人ポイキレスの子メンブリアロス…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(8):アクロティリ

このテラに関する物語の最初で昔テラが大きな島であって、それが火山の大爆発によって今の形になったという話を紹介しました。この大爆発の時にまだテラにはギリシア人は来ていませんでした。その爆発は最近の説ではBC 1628年に起こったと推定されています。…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(7):その後のテラ

BC 6世紀、テラはギリシア本土のアテナイやコリントスと、エーゲ海東岸のイオニア地方あるいはそれに近いロドス島、とを結ぶ貿易の中継点として栄えました。BC 515年にスパルタの王子ドリエウスがリビアに植民市を拓こうとした時にその水先案内人を務めたの…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(6):キュレネ植民の裏側

さて、キュレネが繁栄したため、この植民の物語はハッピーエンドで終わっているように見えますが、仔細に見ていくとなかなか深刻な状況だったように見えてきます。 たとえば、前回の「テラ(5):バットス 」で、リビアを偵察するためにプラテア島に向かっ…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(5):バットス

テラではその後、街づくりが順調に進んでいったようです。残念ながらテラスの一行がテラを建設して(BC 9世紀と推定されています)からBC 630年頃までの出来事は今に伝わっていません。そこで話をBC 630年頃まで進めます。この頃、テラではテラスの子孫であ…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(4):ミニュアイ人たち

テラスがテラに植民したところに話を戻します。 テラスはこの時、スパルタで政府に反抗していたミニュアイ人たちを一緒に連れていきました。ミニュアイ人というのはオルコメノスやという町を拠点とする人々のことですが、アルゴ号の乗組員(ギリシア語でアル…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(3):エウロペを探すカドモス

フェニキアの王アゲノルにはポイニクス、キリクス、カドモスという3人の息子と、エウロペという娘がいました。このエウロぺが美しい少女へと成長した時に、神々の王ゼウスがオリュンポス山の頂にある神々の宮殿から地上を眺め渡し、彼女に目を止めたのでし…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(2):テラスの植民

ドーリス人がペロポネソス半島に侵入した時の話です。ペロポネソスのスパルタを手に入れたのはヘラクレスの後裔アリストデモスでした。彼はアルゲイアをめとってエウリュステネスとプロクレスの双子を得ましたが、子供たちがまだ幼いうちに死んでしまいまし…

エーゲ海のある都市の物語:テラ(1)

今度は、キクラデス諸島の南部、ドーリア人の島テラを取り上げることにします。 古典期ギリシアの方言の分布図。デロス島とテラ島では方言が違う。デロス島はイオニア方言、テラ島はドーリス方言 キクラデス諸島のドーリア人の島としてはほかにメロス島(ミ…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(12):繁栄と滅亡

デロス島が一番繁栄したのは、これよりあと、アレクサンドロス大王が若くして死んで、その帝国が後継者たちによって分割され、互いに覇を争っていたヘレニズム時代と、西方からやがて勢力を増してきたローマに支配され始めた時代でした。今、残っている遺跡…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(11):デロス島の「お清め」

「(6):キクラデス文明」でも少し触れましたが、このペロポネソス戦争の6年目(BC 426年)にアテナイによるデロス島の「お清め」が行われています。 同冬、アテーナイ人は神託の命ずるところと称して、デーロス島の清めをとりおこなった。この趣旨の清め…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(10):デロス同盟

次の話でもデロス島は場所としての役割しか果たしていません。その話というのはペルシア戦争ののちアテナイが組織したデロス同盟の話です。 さて、エーゲ海の東岸、つまり小アジア側までのギリシア都市がペルシアの支配を離脱できるまでになったのは、スパル…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(9):ギリシア海軍のデロス島集結

さて、ダレイオス王の息子で次代のペルシア王になったクセルクセスはBC 481年、2度目のギリシア侵攻を実行します。今度は前回よりも大規模な軍勢で、海岸沿いの陸を進む陸軍と、海岸沿いの海を進む海軍の2段仕立でした。今回は軍勢が大陸の海岸沿いを伝っ…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(8):ダティスの見た夢

ダティスがデロスの海域から去ったのち、デロスに地震があったとデロスの住民は伝えている。そしてデロスにおける地震は今日に至るまで、これが最初であり最後であったという。(中略) ペルシア軍はデロスを去って後、次々に島に接岸してそこから軍兵を徴用…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(7):ペルシア戦争まで

ではイオニア人到来以降のことを書いていきます。 キクラデス諸島のすぐ北にはエウボイア島という大きな島がありますが、BC 710〜BC 650年頃に行われた、エウボイア島にある2つの町、カルキスとエレトリアの間の戦争、いわゆるレラントス戦争にデロス島は巻…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(6):キクラデス文明

では、イオニア人が到来する以前、デロス島に住んでいたのは何者なのでしょうか? 古代の歴史家でペロポネソス戦争(BC 431〜BC 404)の歴史を書いたトゥキュディデスは、それはカリア人であると言っています。 当時島嶼にいた住民は殆どカーリア人ないしは…

エーゲ海のある都市の物語:デロス島(5):イオニア人の到来

伝説ではトロイア戦争が終わって80年目に、ヘラクレスの後裔を称する人々に率いられたドーリス人が北からペロポネソス半島に侵入して、そこに住んでいたアカイア人を追い出し、さらにアカイア人がイオニア人を追い出し、イオニア人は一旦アテナイに避難した…