2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

オートエンコーダ(1)

オートエンコーダというのは一方向の多層ニューラルネットワークで、入力信号と出力信号をなるべく同じにするように調整したものです。層の数が一番少ないオートエンコーダは3層のオートエンコーダです。入力層と出力層のノード(=ニューロン)の数は等し…

画像の主成分分析

ここまで主成分分析の勉強をすると、以前和訳したオルスホーゼンとフィールドの論文「Natural image statistics and efficient coding(自然画像統計と効率的符号化)」で理解出来ていなかった画像の主成分分析というのはどういうことなのか分かりかけてきま…

次元削減(3)

しかし、主成分分析による次元削減は線形であるという大きな制約があります。 たとえば左図のような2次元データのクラス分けの学習はどうでしょうか? 第1主成分はほぼ軸と同じ方向になりそうなことが分かります。 しかし、第2主成分、つまり座標、を無視し…

次元削減(2)

では次元削減をすると何がメリットなのでしょうか? 「次元削減(1)」でお見せしたような2次元のデータを1次元のデータに変換するような例ではあまりピンと来ませんが、100次元のデータを10次元に削減する、というような例を考えれば、次元削減がデータ…

次元削減(1)

「主成分分析(6)」で検討した例をここでも取り上げます。そこではで表されるデータをで表される座標に変換したのでした。「主成分分析(6)」の図4にとの名前を入れて、座標変換の意味するところを分かり易くしてみました。 図5 今後の話を分かり易く…

主成分分析(6)

では、「主成分分析(1)」で示した例 図1 について実際に主成分分析をしてみまよう。まず、分散共分散行列を計算すると、 ・・・・(14) となります。次にの固有値を求めるために、 ・・・・(13) を計算します。これは となります。これを書き下すと とな…

主成分分析(5)

では、分散共分散行列を対角化するための直交行列を求める方法を調べていきましょう。これは線形代数学の復習になりますが、ここで述べていきます。実は、この直交行列は、対角化したい対称行列の固有ベクトルを並べたものになっています。このことから確か…

主成分分析(4)

を次元のベクトルとし、その番目の成分をで示します。この記事の最初で取り上げた2次元の例では、としていたことになります。このようにの次元を2より大きくしても行列を2次元のときと同じように定義出来ます。 ・・・・(1) これを成分で書くと ・・・・(…

主成分分析(3)

ともかく行列を対角化してみましょう。直交行列を使ってを対角化します。すると ・・・・(3) となります。この式(3)の意味することを調べてみましょう。「主成分分析(2)」の式(1) ・・・・(1) を使うと(3)の左辺は となります。ここでであること(「線形…

主成分分析(2)

とが互いに独立になるというのは、どのようにして判断すればよいでしょうか? ここでは共分散というものを使います。との共分散は で定義されます。ここでというのはの平均値を意味します。もしとが独立であれば、データ数が非常に多いとき が成り立ちます。…

主成分分析(1)

主成分分析について考察していくのに、まずは分かりやすさを考慮して2次元のデータから考察していきます。しかし、考え方はもっと高次元にも容易に拡張できます。の2つの要素からなる2次元のデータを考えます。それが多数存在していて、それを軸軸でグラ…

線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(5)

ここまでで準備が出来たので、いよいよ実対称行列は対角化可能であることの証明を行います。 定理 実対称行列は対角化可能である (証明) が実対称行列であるとします。が対角化可能であることを数学的帰納法を用いて証明します。の次元をとします。 まずな…

線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(4)

【補題6】 実対称行列の固有値をとする。の固有空間の実ベクトルからなる正規直交基底をとする。もしが実対称行列の次元より小さい場合、にさらに個の実ベクトルを足しての正規直交基底になるようにする。とすると、 となる。ただし、は次の単位行列である…

線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(3)

【補題3】 実対称行列の固有空間は、実ベクトルのみからなる正規直交基底を持つことが出来る。 (証明) を実対称行列とします。その固有ベクトルを、それに対応する固有値をとします。すると となります。 さて、固有値の固有空間は、以下の式で定義されま…

線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(2)

【補題2】 実対称行列の固有値は全て実数である。 (証明) が実対称行列であるとします。をの固有値とします。すると固有値の定義からとなるようなゼロベクトルでない固有ベクトルが存在することになります。ただし、まだここでは、が実ベクトルであるとは…

線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(1)

オルスホーゼンとフィールドの論文「Natural image statistics and efficient coding」の翻訳が終わりました。正直なところ、私には理解出来ていない箇所がいくつかあります。さて、そこを攻略していくのではなくて、以前、放置していた主成分分析の勉強に進…

自然画像統計と効率的符号化:オルスホーゼン、フィールド著(4)

これは「B. A. Olshausen and D. J. Field, Natural image statistics and efficient coding. Network. 1996 May;7(2):333-9.」の訳です。 4.検討 この研究は自然の画像と大脳皮質の単純細胞の応答特性の間の関係を確立した。これらの結果が近年、スパース…

自然画像統計と効率的符号化:オルスホーゼン、フィールド著(3)

これは「B. A. Olshausen and D. J. Field, Natural image statistics and efficient coding. Network. 1996 May;7(2):333-9.」の訳です。 3.スパース・コーディング 単純細胞の応答特性はかなり線形なので、処理のこの段階のための線形符号化モデルを扱う…

自然画像統計と効率的符号化:オルスホーゼン、フィールド著(2)

これは「B. A. Olshausen and D. J. Field, Natural image statistics and efficient coding. Network. 1996 May;7(2):333-9.」の訳です。 2.自然画像の構造 自然画像は局所化された、方向付けされた、周波数選択性のある、構造を含み、それは線形でペアワ…

自然画像統計と効率的符号化:オルスホーゼン、フィールド著(1)

これは「B. A. Olshausen and D. J. Field, Natural image statistics and efficient coding. Network. 1996 May;7(2):333-9.」の訳です。 自然画像統計と効率的符号化 B A Olshausen と D J Field コーネル大学ユーリスホール心理学部。ニューヨーク、イタ…

ガボールフィルター

今、網膜に映る画像のことを考えていますので、2次元のガボールフィルターを考察します。画像を構成する点の位置をで表すことにますが、これをまとめてベクトルと考えて2次元の位置ベクトルで表すことにします。するとガボールフィルターは以下の式で表さ…

勉強して分かったこと(2)

人間や他の動物の視覚系についてのいくつかのメモ書きです。 脳と網膜に関する部位の名前 まず、脳の各部分についての単語が全然分かっていなかったので整理しました。これは、自分の関心事に特化したまとめです。 視覚情報の流れ 視覚情報の流れは、 視細胞…

勉強してわかったこと

脳科学とニューラルネットワークについて最近行った勉強で分かったことを書きます。それは脳科学の知見がニューラルネットに与えた影響についてです。 脳科学 1959年、ヒューベルとウィーゼルが、第一次視覚野(V1と略記される。Vはvision[視覚]のV)の神経細…

ニューラル・コーディング(7)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。 3.4 スパース・コーディング スパース・コーディングは個々の事柄がニューロンの比較的小さな集合の強い活動で符号化される場合である。符号化される個々の事柄について、これは利用可能な全…

ニューラル・コーディング(6)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。 3.3 集団コーディング 集団コーディングは多くのニューロンの活動を合わせたものを用いて刺激を表現する方法である。集団コーディングでは、個々のニューロンは入力のある集合に対する応答の…

ニューラル・コーディング(5)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。 3.2.2 時間コーディングの応用 時間コーディングの特殊性は、有益で信頼出来る実験でーたを測定するために高度に洗練された技術を必要とする。光遺伝学でなされた進歩は、神経学者たちが個々…

ニューラル・コーディング(4)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。 3.2.1 感覚系における時間コーディング 非常に短い刺激の場合、ニューロンの最大発火レートは、2個以上のスパイクを生成するに充分なほど速くはないだろう。この単一スパイクに含まれる短縮さ…

ニューラル・コーディング(3)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。少しずつ翻訳して、アップしていきます。 3.2 時間コーディング スパイクの精密なタイミングや高頻度の発火レートのゆらぎが情報を運んでいるのを見つけた場合、ニューラル・コードはしばしば…

ニューラル・コーディング(2)

これは英語版のWikipediaの「Neural Coding」の項目の翻訳です。少しずつ翻訳して、アップしていきます。 3.1 レート・コーディング 神経発火通信のレート・コーディング・モデルは、刺激の強さが増加するにつれて、活動電位、すなわち「スパイク発火」の頻…