2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(12)

英語版のWikipediaの「Potnia」の項から ポトニア ポトニアは「女主人、貴婦人」を意味する古代ギリシア語であり、女神の称号である。この言葉はミュケーナイ時代のギリシア語から古典期ギリシア語に同じ意味で引き継がれ、数柱の女神に適用された。類似した…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(11)

前回のエントリで、パーマー教授の、線文字AのA-sa-sa-raと読める単語が女神を表し、ヒッタイト語のイシャサラ(女主人)に近い単語である、そして線文字Aで書かれた言葉はルウィ語である、という説を紹介しましたが、線文字Aはいまだ解読されていません…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(10)

もう私はこのテーマで書くのが苦しくなっているのですが、それでも何かが書けというので、書いています。私が気になった点を書きます。 チャドウィックの「線文字Bの解読 第2版」線文字Bの解読 (みすずライブラリー)作者: J.チャドウィック,John Chadwick,…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(9)

ここまで、デーメーテールとペルセポネーの神話を読み直してきましたが、その中には2つの主題があったと思います。 1つは、ペルセポネーが一年のうち4か月は地下の冥界で過ごさなければならなくなった由来を語る話で、これは冬が起こるわけを説明している…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(8)

デーモポーンの乳母となった女神デーメーテールは、夜の間にデーモポーンを火の中に入れていました。これを繰り返しているうちに、彼の身は不老不死になるはずだったのでした。しかし、ある夜、母親のメタネイラがその光景を見て悲鳴をあげてしまい、このこ…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(7)

デーメーテールとペルセポネーに関する神話を知るために、まず初めに読むのをお薦めするのは、ホメーロス讃歌の中のデーメーテール讃歌です。これは、岩波文庫の以下の本に収録されています。四つのギリシャ神話―『ホメーロス讃歌』より (岩波文庫 赤 102-6)…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(6)

迷宮の女主人という言葉が線文字Bで書かれていたのならば、その正体を突き詰めるには、もっと線文字Bの文書を調べればよいのではないか、と思われる人もおられるかもしれません。しかし、この線文字Bというのがどうも、在庫管理とか物品の分配だとか、そ…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(5)

複雑な迷宮の中に怪物がいる。そのイメージは10代だった頃の私の頭の中に大きな座を占めていました。後年それは、ソフトウェアという論理の迷宮の中に潜んでいるとんでもないもの、というイメージにも変化していきました。また、やはり10代の頃だと思う…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(4)

さて、線文字Bで書かれた粘土板にポトニアの語があったからといって、私がなぜそんなに執着するかと言うと、クノッソスから出土した粘土板に、日本語にすれば迷宮の女主人にあたる言葉、Laburinthoio Potnia、が書かれていたからです。このことを私は、先に…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(3)

ポトニアという言葉の解説は日本語版のWikipediaにはないので、英語版で紹介します。 ポトニアは「女主人、貴婦人」を意味する古代ギリシア語であり、女神の称号である。この言葉はミュケーナイ時代のギリシア語から古典期ギリシア語に同じ意味で引き継がれ…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(2)

Wikipediaのアパイアーの項には、以下のように書かれています。 女神ブリトマルティスとアパイアー女神 ブリトマルティスはアルテミスに庇護された乙女であり、アパイアーもまた、アルテミスに関係する森の女神であって、アイギーナの女神アパイアーが、クレ…

ラビュリントイオ・ポトニア(迷宮の女主人)(1)

私は、観光の目的で海外に行ったのは26年前の新婚旅行だけで、あとは仕事でしか海外に行ったことはありません。 最近母と、その26年前の新婚旅行で行ったギリシアで船に乗って島をめぐったことの話をしたのをきっかけに(ミニクルーズというやつです)、あれ…

五十鈴川をさかのぼる(4)

「五十鈴川をさかのぼる(3)」の続きです。 上流に向かって右側(珍しく右側です)に見える小山のてっぺんには内宮摂社の宇治山田神社が鎮座されています。なぜか「うじやまだ」ではなく「うじようだ」神社と読みます。 宇治山田神社 この日(3月29日)に…