2008-01-01から1年間の記事一覧

ポアソン過程の合流と分岐

合流 複数のポアソン過程が合流して出来た過程もポアソン過程になります。 問題を単純化するためにA1とA2の2つのポアソン到着が合流してBになる場合を考えます。以下、考えることは3つ以上の到着の流れが合流する場合にもそのまま適用できます。A1…

M/M/mの出発過程はポアソン過程(2)

「M/M/mの出発過程はポアソン過程(1)」の続きです。前回の結果は [tex:k ・・・・・(4) の時 ・・・・・(5) でした。今回は、これを元に出発過程の確率密度を求めます。 ステーションからのジョブの出発に対応する状態遷移は下図の赤の矢印で…

ブログを書いて二年。今年を振り返って。

ブログ二周年を迎えました。今まで毎日書くことが出来ました。今年は多くの人と出会いました。会っていなくてもブログ上で知り合いになった人も出来ました。世の中にはスゴイ人々が一杯いるものだなあ、と思いました。その方々に会って、私は私の「工場統計…

M/M/mの出発過程はポアソン過程(1)

「M/M/2の出発過程はポアソン過程」の続きです。 ここまでくれば、M/M/mの出発過程もポアソン過程であることが推測されます。それを証明してみましょう。「M/M/2の出発過程はポアソン過程」での下図 に対応する図を描けば下図のようになりま…

M/M/2の出発過程はポアソン過程

「M/M/2の出発過程は何?(2)」の続きです。 前回の結論は下の図 と、下の一連の微分方程式 ・・・・・・(8) ・・・・・・(9) ・・・・・・(10) と初期条件 ・・・・・・(5) ・・・・・・(6) ・・・・・・(7) でした。(8)〜(…

M/M/2の出発過程は何?(2)

「M/M/2の出発過程は何?(1)」の続きです。 状態が変化していく様子を図にまとめてみましょう。まず、時刻0で装置が2台とも処理中の場合についてです。この場合、ある時刻から後までの間に の確率でジョブが出発して、次の状態に移ります。次の状…

M/M/2の出発過程は何?(1)

M/M/1の出発過程はポアソン過程でした。では、M/M/2の場合はどうなるでしょうか? 同じように考えてみましょう。 今度は装置が2台あるので、場合分けは、2台とも処理中の場合、1台だけが処理中の場合、2台とも空いている場合の3通りとなりま…

M/M/1の出発過程はポアソン過程

M/M/1待ち行列の出発過程もポアソン過程になります。すなわち、出発時刻の間隔の分布が指数分布になります。このことを見ていきます。 装置の利用率をとします。時刻0にジョブが出発したとして、との間に次のジョブが出発する確率を求め、確率密度がポ…

M/G/mの定常状態のジョブ数分布について

なんとか(G/G/mでは難しいのは目に見えているので、せめて)M/G/1の時の待ち行列システム内のジョブ数の定常確率分布を求めたいと願っています。それも難しいのであればせめてM/D/1の時のジョブ数の定常確率分布を求めたいと願っています。 …

関連記事 オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学(2000年〜2008年1月)

オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学----CiNii 2000年 2001年 2002年 47(1) 「経営科学のニューフロンティア」シリーズ-7, 高橋幸雄/森村英典, 著混雑と待ち, 朝倉書店, (221頁) 47(9) 「待ち行列理論とその応用 : 未来への展望」シンポジウムルポ(情報…

関連記事 オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学(1990年〜1999年)

オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学----CiNii 1990年 35(2) シミュレーションによる待ち行列モデルの最適化について(特集:シミュレーション) 1991年 36(3) 物と情報の流れの待ち行列網モデル(特集:CIM要素技術の最前線) 36(4) 待ち行列の点過程モデ…

関連記事 オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学(1976年〜1989年)

「オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学」の中で無料で読める待ち行列理論関連の記事をまとめておきたいのでこのページを作ります。ブックマークでもよかったんだけど、年代順に並べたかったので(そのうちに別の分類わけをするかもしれないし・・)。オ…

これは恋だ!

49歳になっても恋をする。仕事中も気になって頭から離れない。相手は待ち行列理論。つまり、とっくの昔に待ち行列理論に恋していたんだね。工場生産改善のためとか何とか理由をつけていたけど、本当の理由は簡単、つまりは恋してたんだ。今日、それに気づ…

プルターク英雄伝(一)(つづき)

プルターク英雄伝 1 テーセウス,ロームルス,リュクールゴス,ヌマ (岩波文庫 赤 116-1)作者: プルターク,河野与一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1952/04/05メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る 前日の話でギリシアの英雄時代…

プルターク英雄伝(一)

プルターク英雄伝 1 テーセウス,ロームルス,リュクールゴス,ヌマ (岩波文庫 赤 116-1)作者: プルターク,河野与一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1952/04/05メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る プルタークはプルタルコスのこ…

こまめに運ぶと良い場合がある

これについては「Factory Physics」という本に印象深いお話が載っています。この本の著者(2名)は工場運用のコンサルタントをしているのですが、ある時、ある組立工場の見学をしたということです。そこでその工場の案内役が得々として、最近の改善事例を説…

変動が待ちを、そして仕掛をもたらす

「工場にはボトルネックが1つ存在する(1)」のところで、 工場統計力学は、複雑な生産現場の振る舞いを近似的にでも理解するために、いくつかのモデルを提供することを目指しています。 と書きました。今日、ご紹介する下の図は、生産現場の振る舞いを表…

ごちゃごちゃ数式書いているのに興味を持ってもらって感謝です。

これはシュンポシオン横浜ネタです。 12月13日開催されたシュンポシオン横浜(結局、何の集まりなんだっけ?) の席で、何人かの方から「あの数式の意味は何だ?」「何だか分からんけど見ている」というお話をお聞きして、感激しております。ところが、…

ケリーネットワークでのサイクルタイム

「ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(2)」の続きです。 ケリーネットワークを通過するジョブがネットワークに滞在する期間の平均、すなわちサイクルタイムはどれだけでしょうか? まず、ある1つのステーションに…

シュンポシオン横浜大成功

シュンポシオン横浜は間違いなく大成功でした。20代の『青年の主張(?)』がとてもすばらしかった。前座のお二人(id:segawabiki、id:koichiro516)の発表がうまいのは予想していましたが、20代の方々の発表がどれも(おせじではなく全員が!)すばらし…

いよいよ今日だ!

中山さん(id:taknakayama)、辻さん(id:Ronron)、下川さん(id:Emmaus)、佐上さん(id:rairakku6)、小野さん(id:sap0220)、いろいろ準備されたその他の皆さんに、感謝致します。特に、シュンポシオン横浜の構想者にして、11月に事故で右手薬指を負…

全ての記録は不在を前提にしている。

昨夜、倉田さん(id:atkura)のブログで倉田さんの声ブログを聞いている時に、ふと「全ての記録は不在を前提にしている」という気持ちが湧いてきて、少し寂しくなった。特に声は、その人の(この場合は倉田さんの)存在をありありと感じさせるので、聞いている…

仕掛量=期間×アウトプット

このタイトルは「リトルの法則」のことを意味しています。工場での製品の製作期間と単位時間あたりの生産量をかけ合わせると、工場内にある製品の量(=仕掛量)になる、というのがリトルの法則です。 この図では省略していますが、横軸が時間を表しています…

もう始まっている!

私はまだ家にいるが、遠く横浜の夜空の下では、走っている男たち。 何か愉快だ。もう始まっているんだ。もうすぐそこに行くよ。あすは夜明け前に家を出る(・・・・はず)。 横浜へ!

工場にはボトルネックが1つ存在する(2)

この図にはもう一つ使い道があります。それは下図に示すように ボトルネックをムダに使っているかどうか反省するきっかけになるということです。 ボトルネック工程が工場の生産量を決めているのでした。(ただし、これは作っただけ製品が売れるという状況に…

工場にはボトルネックが1つ存在する(1)

工場統計力学は、複雑な生産現場の振る舞いを近似的にでも理解するために、いくつかのモデルを提供することを目指しています。モデルというのは現実の一面を取り出して組立てたものです。現実に比べれば極めて単純です。もちろん、モデルの振る舞いは現実の…

自己紹介ペーパー

いよいよ今週末にシュンポシオン横浜が開催されます。それで自己紹介ペーパーを作ったのですが、49歳の私のペーパーの出番はきっと少なかろう。ほんじゃ、もうここで公開しちゃおうか、ということで公開します。と言ってもここで公開するのはその後半だけ。…

季節は過ぎていく。時は流れる。

11月30日に吉岡さん(id:future-human)にお会いして、「とうふや」という名の豆腐料理店に行きました。下の写真はその時、吉岡さんが撮った写真です。 私たち二人が店の人に通された席は窓のそばの席でした。窓の外には見事に黄色に色づいたイチョウの木…

ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(2)

「ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(1)」の続きです。 次にステーションの全てのジョブのクラスが任意のクラスである場合の確率を で表します。上と同様に考えると ・・・・・・(9) となります。 の部分は「M…

ケリーネットワークの定常状態確率とジャクソンネットワークの定常状態確率(1)

「ケリーネットワークの積形式解の存在証明の試み(再挑戦)(3)」で、ケリーネットワークの定常状態確率の式を求めることが出来ました。それは積形式になっており、 ・・・・・(1) ただし はステーションの数 はステーションでのジョブ数 ・・・・・・…