利用率

利用率はUtilizationの訳です。利用率は、装置またはステーションについて定義されます。これをあえて稼働率と訳さなかったのは、Factory Physicsで使用しているUtilizationは、稼働率とは若干違う意味で使っていたからです。利用率と稼働率の違いを示すために次の図にある例を考えます。

装置(あるいはステーション)の全体の使用時間を100%として、その内訳が処理時間が75%、空き時間が15%、故障時間が10%の割合であったとします。その場合、稼働率は75%です。
しかし利用率は、処理が可能な時間に対する実際に処理した時間の割合です。この図の場合、

  • (利用率)=(処理時間)/{(処理時間)+(空き時間)}=75%/(75%+15%)=75%/90%=83%

になります。Factory Physicsで用いている利用率は、このような意味になります。
下の図はもっと極端な例です。

この場合、稼働率は10%ですが、利用率は100%になります。

  • SEMIスタンダードで、このような概念をどのような用語を使って表わしているか確認するために、SEMI E10-0304E Specification for definition and measurement of equipment reliability, availability, and maintainabilityを確認したところ、上記の稼働率の意味にあたるのは、total utilizationでした。利用率の意味にあたる用語はありませんでした。利用率に近いのはのは、operational utilizationですが、ここには分子にセットアップ時間を入れています。ところがFactory Physicsではセットアップ時間も除いた処理可能な時間と実際に処理した時間の割合の意味で利用率を使っています。