生産能力拡張戦略

国立台湾大学のYon Chou氏のISSM2007論文「製造2社独占においてキャパシティを競争戦略として用いること 」を読み終わりました。私の能力では理解出来ない数学が使われていたので、以下は正しい理解ではないかもしれません。
この論文は2つの会社だけを取り出して、両者に2つの戦略が選択可能、という幾分人工的な(単純化された)状況を考察しています。2つの戦略とは、保守的と積極的の2つで、保守的とは自分だけの都合で考えた最適なキャパシティ(=生産能力)で生産することであり、積極的とはそれ以上のキャパシティを持つことです。2つの会社は生産能力にもそれを拡張する能力にも差があると仮定しています。そして、ある条件が成り立てば、大きいほうの会社がよりキャパシティを拡張すると、ライバルの利益を犠牲して勝ち続けることが出来る、ということをこの論文は示しているようです。
読み終わった時には、前提条件が単純過ぎて現実的ではない、と思ったのですが、現実の世界で、DRAMが値崩れしているにも関わらず、大手の会社が増産を続けているという記事を読んで、この論文に書かれているようなダイナミズムが背後にあるのだろうかと思い、急にこの論文の迫力を感じました。