Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(5)

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(4)」の続きです。
今日も2ページ。

QNAはこのルート・インプットを集約によって解析する。すなわち、全てのクラスはルート・インプットを標準インプットに変換するためにQNAによって集約される。その後、個々のクラスの特有のパラメータがその滞在時間を記述するために使用される。


 QNAはかなり豊富なアウトプットをも提供する。いくつかのさまざまな混雑尺度が個々のノードについて計算される。流量強度(利用率)、ビジー・サーバの期待数(提供負荷)、平衡遅延の平均と分散、存在する客の数、である。実際、単一サーバ・ノードについて遅延分布それ自身が記述される。ネットワーク全体の混雑尺度も、近似フロー・パラメータが与えられればノードが確率的に独立であるという近似の仮定の下で、計算される。総サービス時間と総遅延と総滞在時間(反応時間)の平均と分散が与えられる。インプットがルート毎の時は、これらの特性は個々の客のクラスについて与えられる。さもなければ、これらの特性はユーザが要求する任意のルートについて与えられる。


 QNAの望ましい特徴は内部フローを特徴付けるパラメータを変形する計算の構造である。計算は個々のネットワーク・オペレーションについて線形であるので、内部フローのパラメータは単に連立一次方程式を解くことによって決定される。レートについては、連立一次方程式はまさに、M/M/m待ち行列のジャクソン・ネットワークで出てくる、よく知られたトラフィック・レート方程式である。レートを得たのち、我々は別の連立一次方程式を解くことにより内部フローの変動パラメータ(2乗変動係数)を得る。副産物として、フロー・パラメータの唯一の非負の解の存在が自明に保証される。繰り返し形式が収束する保証はなく、もし収束するならば、通常、解が一意である保証はない。線形性は必要な計算量がそれほど多くないことをも保証する。ネットワーク内の1ノードにつき1つの一次方程式だけが存在するので、QNAは大きなネットワークを繰り返し最小のコストで解析するのに使用できる。


 変動パラメータを変換するための線形計算は近似の精度を改善するための最近の研究の結果を組み込んでいる。Whitt*1にある点過程の近似のための一般フレームワークが使用される。この種の以前の近似法からの顕著な改善が、困難な重ね合わせオペレーションへ特に注意を払うことにより得られた。重ねあわせについて、我々はベル研究所でAlbin*2 *3 *4 *5によって開発されたハイブリッドな手続きの修正版を用いる。


 QNAは近似であることを我々は強調する。適用においてQNAのアウトプットをシミュレーションや測定と比較することによって正当性を立証することが重要である。QNAは改善を組み込むことが容易であり、QNAを特定の応用のために調整することが容易であるように設計されている。QNAは新しい近似手続き開発のための役立つフレームワークをも提供している。さらに、ノードやフローを解析することが可能な他の特別なアルゴリズムと一緒にQNAを用いることは容易である。


 この論文の残りではQNAについてより詳しく説明する。論文は、アウトプットがちょうどそうであるように、解析の主要ステップに従って構成されている。インプットはセクションIIで説明される。セクションIIIは即座戻りを除去するための予備解析を説明する。内部フロー・パラメータを決定するための手続きはセクションIVに含まれ、ノードの近似混雑尺度を計算する手続きはセクションVに含まれる。セクションVIは全体としてのネットワークについて近似混雑尺度を計算する手続きを含む。


 Journal*6のこの課題における続編の中で、我々はQNAをいくつかの待ち行列のネットワークのシミュレーションと他の近似と比較することによりQNAのパフォーマンスを記述する。続編はQNAを適用する方法を示し、変動パラメータの重要性を示す。


II.インプット
 このセクションで我々はQNAで現在利用可能なインプットのオプションについて説明する。将来より多くのインプットが出来ることを我々は期待している。セクション2.1では標準インプットを説明する。これは比較的コンパクトである。セクション2.2では標準インプットの小さな変更を説明する。これはノードでの客の生成や組合せを可能にする。例えば、あるノードでパケットがサービスを完了する時、それは他のノードで送られるいくつかのパケットを引き起こすかもしれない。セクション2.3では指定されたルートを持つ客のさまざまなクラスについての代替インプットを説明する。また、クラスとルート毎のこのインプットをセクション2.1の標準インプットにQNAが変換する方法も説明する。


2.1 標準インプット
 標準インプットでは、単一客クラスが存在しノードでの客の生成はない。任意のネットワークが単一ランの間に処理可能であり、よってユーザは最初にネットワークの数を指定する。次に、個々のネットワークについて、ユーザはノードの数を、そして個々のノードについてサーバの数を指定する。ネットワーク内の個々のノードについて、サービス時間分布について2つのパラメータが存在し、外部到着過程について2つのパラメータが存在する。最後に、ノードjからノードiに行く客の割合を示すルーティング行列が存在する。個々のネットワークについてのインプット・データのリストと我々が使用する記法とともに以下に示す。

Word Whitt: The Queueing Network Analyzer(6)」に続きます。

*1:W. Whitt,「再生過程による点過程の近似、I:2つの基本的方法」Oper. Res., 30, No.1 (January-February 1982),pp.125-47.

*2:S.L. Albin,「重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列の近似」Ph.D dissertation, Department of Industrial Engineering and Operation Research, Columbia University, 1981.

*3:S.L. Albin,「再生過程による点過程の近似、II:待ち行列への重ね合わせ到着過程」Department of Industrial Engineering, Rutgers University, 1982.

*4:S. L. Albin,「待ち行列における重ね合わせ到着過程のためのポアソン近似について」Management Sci., 28, No.2 (February 1982), 126-37.

*5:W. Whitt,「高負荷の重ね合わせ到着過程を持つ待ち行列」 unpublished work, 1982.

*6:W. Whitt,「Queueing Network Analyzerのパフォーマンス」B.S.T.J., this issue.