山本ひろ子著中世神話

この本で中世の伊勢神道の内容に興味を持ちました。

中世神話 (岩波新書)

中世神話 (岩波新書)

日本神話と言えば、普通、古事記日本書紀、あるいは少しはずれても風土記、をもとに紹介されるものですが、この本の紹介する日本神話は鎌倉、南北朝期に記述されていた日本神話で、それは古事記日本書紀の神話を元にはしているが、それとはかなりかけ離れた、別個の神話体系をなしているのであって、その一端を紹介する、というものです。
特に「第1章 屹立する水の神」は、伊勢神宮の外宮の神である豊受大神日本書紀ではまったく登場しない神であり、古事記では一箇所だけ登場するという、いわば記紀神話ではまったくマイナーな神であるにもかかわらず、(しかも古事記に登場する一箇所というのは後世の挿入によるものと疑われている)、外宮の神官達がさまざまに理論付けして(こじつけて?)、伊勢神宮の内宮の神、天照大御神に挑戦し、その神を、ついにはそれより優位な位置に立たせてしまうのに成功する、という過程を記述したもので、非常におもしろかったです。山本ひろこ氏自身のこの本の紹介が以下に載っていました。

http://www.wako.ac.jp/~hiroko/professor_2b.html

それから、今、この本が手元にないのではっきり引用できませんがこの本の「あとがき」の内容を読んで、非常に自分にフィットするものを感じました。それはまた、別の日にご紹介したいと思っています。