法則(処理バッチの構成)

  • 法則(処理バッチの構成): 
    • バッチ処理の、あるいは、著しく長い切替時間(=セットアップ時間)の、ステーションにおいて
      1. システムが安定であるような処理バッチ・サイズの最低値は1より大きいだろう。
      2. 処理バッチ・サイズが大きくなるにつれて、サイクルタイムはバッチ・サイズに比例して大きくなる。
      3. ステーションでのサイクルタイムは、ある処理バッチ・サイズで最小になる。そしてそれは1より大きいだろう。
  • 1と3の意味の違いは、以下のようなことです。1ではシステムが安定であるような処理バッチ・サイズの最低値が2以上である可能性を言っています。一方3ではサイクルタイムが最小になるようなバッチ・サイズ、つまり多くの場合、最適バッチ・サイズと考えられるもの、が2以上である可能性を言っています。なお、このFactory Physicsの本の中ではバッチという言葉を、シリアル・バッチと、パラレル・バッチの両方の意味に使っています。パラレル・バッチというのは通常のバッチ処理のことで、バッチ・サイズが(最大バッチ数まで)増えても処理時間が変わらないような処理のことです。半導体ファブでいう拡散炉やLPCVD炉での処理はここでいうパラレル・バッチです。一方シリアル・バッチというのは、セットアップ(段取り替え)のある枚葉処理装置の処理のことで、ジョブ(半導体ファブで言えばウェハ)は装置で一度に1つずつ処理されます。この場合のバッチ・サイズというのはセットアップから次のセットアップまでの間のジョブ数(半導体ファブで言えばウェハ数)になります。通常の考えでは枚葉処理とバッチ処理はまったく異なる処理形態ですが、物流の論理からすると、両者は似た(しかし、まったく同じではない)振舞いをする、とこの本では言っています。この法則を視覚化したグラフを以下に示します。これはあるパラレル・バッチ処理の場合のバッチ・サイズとその装置群でのサイクルタイム(=待ち時間+処理時間)の関係を示した一例です。

  • これはいろいろな条件をある値に定めた時の例であって、条件が違えばグラフの形も変化します。

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