エジプトの死者の書

エジプトの死者の書―宗教思想の根源を探る

エジプトの死者の書―宗教思想の根源を探る

これは何度も読んだ本です。私にとっては古代エジプトの神秘を感じさせてくれる数少ない本です。同じように感じさせてくれる本として
エジプトの神秘 -甦る古代の叡智- イメージの博物誌 22

エジプトの神秘 -甦る古代の叡智- イメージの博物誌 22

エジプトの神々」があります。ただ、エジプトの神秘については、個人的見解が多いようでそれが気になります。その点この本は(エジプトの神々も)良識を守った記述で、読んでいて心地よいです。「死者の書」の本当の名前は「日の下に出現するの書」意訳すれば「復活の書」です。後の世の人々が勝手に「死者の書」という名前をつけました。この本からは古代エジプト人の来世に対する非常に楽天的な考え方が見えてきます。
石上玄一郎氏は、当初、死者の書の邦訳を意図したそうですが、自分に古代エジプト文字の読解の知識がなく、100年前のウォーレス・バッジの英訳本からの訳をするのではあまり学問的な意味がない、それよりも死者の書に対する自分の論考を世に問うたほうが価値があると考えて、この本を著したそうです。それはそれで面白い本が出来たわけですが、私としては死者の書そのものの日本語訳(とそれにたいする詳細な注)を読みたいという希望を持っています。Amazonで検索したのですが、おそらく「ちゃんとした」日本語訳はなさそうです。