コンスタンティノープル千年

コンスタンティノープル千年―革命劇場 (1985年) (岩波新書)

コンスタンティノープル千年―革命劇場 (1985年) (岩波新書)

これも昔買った古い本で、どうも「はまぞう」には画像がないようです。1987年に買いました。高校の世界史受けた授業では西ローマ帝国が滅びると東ローマ帝国のことはほっといて中世ヨーロッパの話に行ってしまいました。それで、この本を取って読んだ時に、捨てておかれた東ローマ帝国、後世いうところのビザンチン帝国、の歴史もあったんだ、という強い驚きを覚えました。考えれば世界のどの地方だって歴史はあるわけですが、世界史の授業で受けた歴史だけが歴史ではない、ということを認識したきっかけになった本がこの本です。この本からビザンチン帝国の歴史に興味を持ち、あと何冊か買うことになりました。何年もの間、繰り返し読んだ本です。

ビザンツ皇帝制度を、いわゆる「オリエント的デスポティズム」vs「ギリシア・ローマ的デモクラシー」という図式で説明することが、いささか見当ちがいなことがはっきりすると思う。いや、この対句は、ビザンツ皇帝制度を理解するには、むしろ躓きの石となりかねない。必要なのは、こんな大まかな分類ではなく、もっと厳密で、きめのこまかい区別だてである。たとえば、ビザンツ人の意識のなかで、果して、国家と皇帝との間に、はっきりしたけじめが設けられていたかどうか、というが如き。この点、いくつもの史料を見ていくと、どうしても、けじめがあったとしか思えないという結論しか出てこない。

この引用した箇所は私のそれまでのビザンチン像を修正させた箇所です。