天智天皇 遠山美都男

天智天皇―律令国家建設者の虚実 (PHP新書)

天智天皇―律令国家建設者の虚実 (PHP新書)

遠山美都男氏は、「大化の改新」「白村江」「壬申の乱」と本を出版し自分の考えを明らかにしてきたところで、この3つの事件に全て関係のある天智天皇についての自分の見解を明らかにしたい、と思い、この本を著わしたとのことです。私は「白村江」で遠山美都男氏を始めて知りました。前から私は日本書紀を読んでいたのですが、どうも書いてあることがよく分からないという印象を持っていました。それが「白村江」では原文をもとに緻密な解釈をほどこしており、読んで「こういうことだったのか!」と分かり、事件としてのおもしろさがよみがえってくるのを感じました。この「天智天皇」でも読後感は同じです。この本の主張するところは天智天皇律令国家の先駆者と見るのは後世の仮託であり、日本書紀の記述に従うならば「軍事王」というべき性格の存在であった、ということです。読んでなるほどと思いました。