台湾 伊藤 潔著

台湾―四百年の歴史と展望 (中公新書)

台湾―四百年の歴史と展望 (中公新書)

台湾の歴史を記した本です。仕事で時折台湾を訪れるので、この国の歴史を知りたくてこの本を買いました。
 大航海時代ポルトガルが台湾を発見してから現代までの歴史を簡潔にまとめています。特に日本統治の状況、国民党政権、台湾民主化運動を詳しく記述しています。
 この本を読んで認識が変わったのは、蒋経国という人物です。わたしは彼は蒋介石の子供であり、独裁政権のトップだと思っていたのですが、この人が李登輝を副総統に登用したのであり、それがのちの民主化につながっていったのでした。もうひとつ、台湾のシリコンバレーとも言うべき新竹科学工業園区の建設が1980年であり、蒋経国政権下の出来事だったということです。これも台湾の今日の発展に大きく寄与したのだろうと思います。
 しかし、その1年前には高雄で美麗島事件が起きており、その後も反体制派の弾圧が続くのでこの人物をどう評価するかは私には難しいです。