さまざまな装置群から来るジョブのについて
- Kingmanの近似式とその拡張で述べましたようにWhittの近似式
- を用いると、ある1つのステーション(=装置群)について装置利用率と待ち時間の関係が分かります。ここから、ある1つのステーションについて重要な3つの量、サイクルタイム、WIP、スループットの関係を求めることが出来ます。これを工場内の全てのステーションについてまとめれば、原理的には工場のサイクルタイム、WIP、スループットの関係を求めることが出来ます。
- ある1つのステーション(=装置群)について装置利用率と待ち時間の関係をWhittの近似式を用いて求めるためには、(=ジョブの到着間隔の変動係数)と(=装置処理時間の変動係数)を求める必要があります。については装置の処理時間の分布を測定するなり推測するなりして求めることが出来そうです。ところがは工場の状態が変われば変化しそうですので、ある状態の工場でを実測したとしても、それが別の状態の場合も有効であるかどうか不明です。
- 一般に半導体ファブでは下の図に示すように、さまざまなステーション(=装置群)からジョブ(=ロット)が流れ込みますので、これら複数の流れをまとめて見た時にいったいがどの程度になるのか知りたいところです。
- これをFactory Physicsに期待したのですが、わずかに第8章 変動の基礎に、多くの発生源からジョブを受取る場合にはは1に近くなる(つまり指数分布に近くなる)傾向がある、と述べるに留まっています。
- Factory Physicsは一般の工場を対象にしているので、半導体ファブのようなラウティング(=プロセス・フロー)が複雑な工場の場合についての考察が少ないように思えます。
- 前工程のステーションが1つだけの場合についてはつなぎの式を参照下さい。
- (09/7/3注)この問題は「QNA読解:4.3 重ね合わせ(1)」以降で解決しました。