ロットサイズとの関係についてもう少し

  • 昨日の記事では、ここ1ヶ月の議論のまとめに入ることを述べましたが、その前に片付けておきたいものが念頭から離れず、結局、それを考え続けることになってしまいました。今でもすっきりした結論にはなっていませんが、昨日よりはすっきりしているので、それを紹介します。
  • ロットサイズ縮小がキュー時間CTqに与える影響(まとめ)」のところで、装置処理時間の変動係数c_eのロットサイズkとの関係を述べた式
    • c_e^2=\frac{k{\sigma}_{w0}^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}}{\left(k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}\right)^2}
    • ただし、
      • t_s:セットアップ1回の平均時間
      • t_0:ウェハ1枚あたりの処理時間
      • {\sigma}_{w0}:セットアップの影響を除外した、ウェハ1枚あたりの処理時間の標準偏差
      • {\sigma}_s:セットアップ時間の標準偏差
  • を紹介して、そこからの結果として
    • ここから、ロットサイズkを縮小すると、装置処理時間の変動係数c_eは増加するか減少するか不明
  • と述べましたが、これがずっと気になっていました。せめて単調増加か単調減少であるかどうかぐらい言えないか、と考えました。
  • 考えた結果、これはc_e^2単独で検討するのではなく、それに装置の平均実効処理時間t_e=k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}をかけたc_e^2t_eで考えたほうが分かり易いことが分かりました。また、Whittの近似式
    • CT_q=\left(\frac{c_a^2t_e+c_e^2t_e}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • と変形できるので、ロットサイズk縮小におけるキュー時間CT_qの増減を調査するには、
    • c_a^2t_e
    • c_e^2t_e
    • \frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • の増減をそれぞれ調べればよいことが分かりますので、c_e^2t_eの増減が分かると便利です。
  • そこでc_e^2t_eを計算すると
    • c_e^2t_e=\frac{k{\sigma}_{w0}^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}}{\left(k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}\right)^2}\left(k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}\right)=\frac{k{\sigma}_{w0}^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}}{k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s{\sigma}_{w0}^2}+\frac{N_s-1}{N_s^2{\sigma}_{w0}^2}{t_s^2}}{k+\frac{t_s}{N_st_0}}
  • となります。式が複雑になってきましたので
    • a=\frac{{\sigma}_s^2}{N_s{\sigma}_{w0}^2}+\frac{N_s-1}{N_s^2{\sigma}_{w0}^2
    • b=\frac{t_s}{N_st_0}
  • と置くと
    • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+a}{k+b}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+b-b+a}{k+b}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\left(1+\frac{a-b}{k+b}\right)
  • ここから、
    • a>bならばk減少でc_e^2t_eは単調増加
    • [tex:a
  • であることが分かります。さらに、
    • k=0
      • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\left(\frac{a}{b}\right)
    • k\rightar\infty
      • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}
  • ですのでc_e^2t_e{\sigma}_{w0}^2a/t_0b{\sigma}_{w0}^2/t_0の間で変化することがわかります。