【定理10b】

補足説明

以下は、「搬送時間ありG/G/mのサイクルタイム定理が求まらない」の説明の一部です。

【定理10b】

装置kp番目に処理されたロットをロット(k,p)、その処理時間をt_{e(k,p)}とする。全てのkの全ての処理ロット(k,p)について

  • CET_{max}\le{\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}

の時、もしロット(k,i)ガントチャートにおいてTL(ロットがストッカからロードポートに搬送される時間)が先頭に来ていない(例えば下図の例のロット3)ならば、S_{(k,i)}=E_{(k,i-1)}である。

(証明)

  • このロットのストッカへの到着時刻をA_{(k,i)}とする。また、ロット(k,i)のTLの開始時刻をLS_{(k,i)}、終了時刻をLE_{(k,i)}とする。また、ロット(k,i)がロードポートに来る時のキャリア交換時間をCET_{(k,i)}とする。
    • キャリア交換は2つのロットが関係するが、ここでは、新しくロードポートに来るロットのほうの添字をCETの添字とすることにしている。
  • ロット(k,i)ガントチャートでTLが先頭に来ないということは、ストッカで待ちがあった、ということである。最初ストッカで待っていて、次に
    • LS_{(k,i)}
  • の時にロードポートに向かい始めたということはキャリア交換を行ったということである。このキャリア交換は時刻
    • LE_{(k,i)}
  • に完了しているので、キャリア交換が始まったのは時刻
    • LE_{(k,i)}-CET_{(k,i)}
  • である。
  • よってロット(k,i)がロードのために選ばれた
    • LS_{(k,i)}
  • の時には、装置kのロードポート内の1つのロットが処理を完了してから
    • LS_{(k,i)}-LE_{(k,i)}+CET_{(k,i)}=CET_{(k,i)}-TL_{(k,i)}
  • 経っていることになる。ただしTL_{(k,i)}=LE_{(k,i)}-LS_{(k,i)}はロット(k,i)のTLである。
  • また、この時、他のLP-1個のロードポートは全て処理前のロットを持っているはずである。さもなければ、ロット(k,i)はもっと前に装置kのロードポートに向かったはずだからである。
  • よって、これらのLP-1個のロットの処理が完了するのは、この時点で完了したロットをロット(k,p-1)とすると、時刻LS_{(k,i)}から
    • {\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}-(CET_{(k,i)}-TL_{(k,i)})
  • 後、つまり時刻
    • LS_{(k,i)}+\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}-(CET_{(k,i)}-TL_{(k,i)})=LE_{(k,i)}-CET_{(k,i)}+\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}
  • となる。ここで
    • CET_{max}\le{\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}
  • なので、
    • CET_{(k,i)}\le{\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}
  • よって、
    • {\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}-CET_{(k,i)}{\ge}0
  • よって
    • LE_{(k,i)}-CET_{(k,i)}+{\Bigsum_{j=p}^{p+LP-2}{t_{e(k,j)}}}{\ge}LE_{(k,i)}
  • つまり、LP-1個のロットが処理完了する時刻のほうがロット(k,i)がロードポートに到着する時刻より遅いか、早くて同時である、ということになる。
  • いずれの場合も、ロット(k,i)の処理開始時刻が、その1つ前のロットの処理終了時刻と等しくなる。ロット(k,i)の処理開始時刻をS_{(k,i)}を、装置kでの、その1つ前のロット(ロット(k,i-1))の処理終了時刻をE_{(k,i-1)}で表すと、
    • S_{(k,i)}=E_{(k,i-1)}
  • となる。

(証明終わり)