法則(バランスのとれた工場)
- 法則(バランスのとれた工場):
- ボトルネック・ステーションが多数存在する工場は不安定な工場である。
バランスのとれた工場というのは、その工場で生産する各製品のラウティングと製品ミックス(=プロダクト・ミックス)が与えられた時に、各ステーションの利用率が(ほぼ)等しくなるような工場のことです。
理想的にバランスのとれた工場では、製品ミックスをそのままにしたまま生産量(=スループット)を増やすと、全てのステーションの利用率が同時に100%に達することになるので、全てのステーションがボトルネック・ステーションであることが分かります。これほど理想的にバランスがとれていなくても、ボトルネック・ステーションが多数ある工場では、次のようなことが起こります。
ボトルネック・ステーションより上流からのジョブの供給が、何らかの確率的な現象(例えば上流工程装置の故障や品質事故など)のせいでしばらく途絶えてもボトルネック・ステーションが空くことがないように、ボトルネック・ステーションの前にはある程度の量のジョブを溜めておきます。そして上流工程からのジョブの到着が途絶えた時は、その溜めてあるジョブをそのボトルネック・ステーションは消費していきます。
やがて上流工程が復活したときに、そのボトルネック・ステーションの前に先ほど述べた「ある程度の量」のジョブを溜めるためには、ボトルネック・ステーションで消費する量プラス・アルファを上流工程は供給しなければなりません。しかし上流工程がボトルネック・ステーションかそれに近い場合は、余分なキャパシティがまったくか、あるいは、ほとんど、ないのでジョブを溜めることが出来ません。よって、結局はボトルネック・ステーションを充分に使い切ることが出来なくなるということになります。あるいはボトルネック・ステーションを充分に使い切るには、ものすごく大量のジョブを予め溜めておかなければならないことになります。このようにして効率の悪い不安定な工場になります。