万葉集(下)

万葉集〈下〉 (旺文社全訳古典撰集)

万葉集〈下〉 (旺文社全訳古典撰集)

中は巻第十三から二十までです。

  • 家にありし櫃にかぎ刺し蔵(をさ)めてし恋の奴の つかみかかりて

万葉集について何か文を書くことは私の力に余ることのようです。この本を買った大学生のころ、私は気に入った歌に印を書き込んでいました。その数はかなりのものになるのですが、今ではどこを気に入って印をつけたのか忘れたような歌のほうが多いです。上に挙げた3つも印をつけた歌です。
「波高し・・・」は、「浮寝(うきね)」(舟の上で寝ること)の心細さに私が反応したのだと思います。しかし、この歌は全体に冗談の雰囲気がします。本当に舟の上で詠んだのではないような、例えば酒の席で詠んだような雰囲気がします。
「あしひきの・・・」はおそらく若い女性の歌でしょう。「ゑぐ」といのは、注釈によれば

クログワイ。カヤツリグサ科の多年生草本で、沼沢地に自生する。地下に生ずる塊茎は食用になる。

とのことで、庶民的な歌です。
「家にありし・・・」は、穂積親王が宴会の時に好んで歌った歌ということです。