第12章 総合品質生産 の概要

Factory Physicsの基本的な洞察は、変動は、製造システムのパフォーマンスを決定するのに重要な役割をはたす、というものである。変動はさまざまな発生源からやってくるが、特に重要な発生源は品質であり、それはシステムのパフォーマンスを根本的に変え得るものである。この章は、品質の参考書が持つ深さと幅を提供出来ない。出来るのは、品質というものが、工場オペレーション管理の全体像の中でどのような位置を占めるかを示すことである。

  • 統計的プロセス制御SPC: Statistical process control)は品質と変動の両者に関係する。統計的プロセス制御は測定可能な品質属性を対象とする。もしそれが比較的小さく本質的に制御不能な発生源によるものであれば、それを自然変動と呼ぶ。自然変動を持って安定に稼働しているプロセスは統計的制御下にあると言われる。原因を追跡できる、より大きな変動源は、指定可能原因変動と呼ばれる。指定可能原因変動に従うプロセスは制御外にあると言われる。SPCの課題は、指定可能原因変動を自然変動から分離することである。このために統計を利用する。事実上、全ての製造プロセスは変動を含むので、SPC技術は現代の製造マネージャにとって不可欠なスキルの1つである。
  • 品質とオペレーションは密接に関係している。
    • 品質問題は変動のもっとも大きな、そして最もありふれた原因のひとつである。さらに品質問題は、リワークあるいは廃棄したパーツの作り直しの形で、しばしばステーション利用率を増加させる。変動と利用率の両方に影響を与えることによって、品質問題はオペレーションにおいて極端な結果をもたらす可能性がある。
    • WIPの削減は品質問題の発生工程と検出工程の間のサイクルタイムWIPの削減をもたらす。サイクルタイムの削減は、問題検出までの時間を短くする。WIPの削減は品質問題を持つパーツの数を少なくする。両者とも、品質向上に寄与する。
  • サプライア・レベルでのよい品質は工場レベルでの良い運用とよい品質を促進する。ちょうど内部での廃棄とリワーク問題が工場パフォーマンスを悪化させるように外部サプライアからの品質問題は工場パフォーマンスを悪化させる。サプライア・レベルでの品質問題は「配達時間の変動」を膨張させる役割を果たすので、この面でもオペレーションに対して悪影響をおよぼす。この配達時間の変動の影響は、組立工程ではずっと顕著になる。


登場する法則類


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