第11章 オペレーション管理における人間的要素 の概要

人間は製造システムの重要な要素である。スケジューリングやキャパシティ計画や品質管理や装置メンテナンスのような非常に技術的なトピックでさえ、根本的な仕方で人を巻き込む。
Factory Physicsの根本の前提は、工場の振る舞いを支配する自然の法則あるいは傾向があるということである。これらの法則を理解し、それらを利用することはよりよい管理方針を促進する。これらの法則と類似して、我々は、工場のオペレーションに著しく影響を及ぼす、人間の振る舞いの自然な傾向、あるいは人間法則があると感じている。本章は、人間と製造システムの間の複雑で多面的な相互作用のうち、わずかな事項を記述出来たに過ぎない。

  1. 人は自分の個人的利益によって行動する。
    • たいてい人々は自分の個人的利益を目指して行動する。よってそこには何らかの誘因が存在する。この誘因の結果としてもたらされたある行動が、もし生産システムに悪影響を与えているならば、その個人ではなくその誘因のほうを変更すべきである。
  2. 人はさまざま
    • 個人は才能、興味、望みに関して異なるため、適所適材が望ましい。
  3. 擁護者には強力なポジティブの、そして、ネガティブの影響があり得る。
    • (MRPやJITなど)様々な運動や主義の擁護者には善悪両方に強力な影響があり得る。そのような人が変革のための強力な代理人であり得るが、一方で、不健全なアイディアを魅力的に見せることも出来る。
  4. 人は燃え尽きる可能性がある
    • 管理職も作業者も、非常に多くの工場オペレーション上の流行に巻き込まれたので「今月の革命」なるものに飽きてしまった。そのような「燃え尽きてしまった」人々のいる工場で変革を起こすのは容易ではない。
  5. 計画の数字と動機づけの数字は別のものである。
    • 極端でなければ、動機を目的として楽観的なキャパシティ、歩留あるいは信頼性データを用いることは適切だろう。しかし、予測の目的で履歴上証明されていない数値を用いることは全く危険である。
  6. 責任は権限と釣り合っていなければならない。
    • この明白なマネジメント原理は、まだ製造の現場では頻繁に破られている。


登場する法則類


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