易経 (上)(下)

今日は易経先生にお越し頂きました。易経先生、よろしくお願い致します。まず、先生にお断りしなくてはいけないのですが、ここで私の運勢を占って頂くと私がちょっと恐ろしいので、易経先生には私に関することはお尋ねいたしません。それで、易経先生のほうから口火を切って頂きたいのですが・・・・

風雷益の九五の卦を頂きました。ちょっと易経の本で内容を調べますね。

益は、往(ゆ)くところあるに利(よ)ろし。大川を渉(わた)るに利ろし。
彖(タン)に曰く、益は、上を損して下を増す。民説(よろこ)ぶことかぎりなし。上より下に下る、その道大いに光(あきら)かなり。

ですか。要するに、自分は損して他人に利益を得させる、これが易経先生のお考えなのですね。益の九五のところはと言いますと、

孚(まこと)ありて恵心あり。問うことなくしておおいに吉なり。孚ありて我が徳を恵とすとは、大いに志を得るなり。

誠意があってやっているので、自分自身のことについては占うまでもなく吉であるに決まっているから自分のことは占わないのですね。そしてそういうふうに行動しているとみんなの共感を得るということですね。昔、唐の時代に易を好むあまりに姓名を変えて長安の町で占いをし、銭がはいると捨て去る無欲な人がいたという話を読んだことがありますが、そんな感じですか? そもそも易経先生には欲がおありにならない?

今度は水雷屯の六四ですね。

馬に乗りて班如たり。婚媾を求めて往(ゆ)けば、吉にして利(よ)ろしからざるなし。

ですか。馬に乗ってもぐるぐるまわりするばかりだけれど、協力者を求めればとてもよい、って、これ、私のことを言っていません? えっ、私のことではない。おまえはそんなに運がよくはないって。ちょっ、ちょっと待ってくださいね。私のことは脇においておいて・・・・。う〜ん、じゃ、易経先生も誰か協力者を探しているということですか。お一人では、同じところをぐるぐる回るばかりでラチがあかない。はあ、そうなんですか。つまりあれですか。易経先生は自分では表に出るわけにはいかないから、自分の志を実現してくれる協力者が欲しいと。そして志というのは民を喜ばすことだと、自分は損してかまわないから、というわけですね。えーっと、北のほうにそんな方がいらしたような・・・・。
これは最後の質問になりますが、その方に何か一言。いや、これはお聞きしないほうがよいですね。立ち入ったことを聞いてしまうと私が困りますし。では、最後に、みなさんが易経先生とどうお付き合いするのが適切なのか、教えて頂けませんか?

地火明夷の九三と。

明(めい)夷(やぶ)る。于(ゆ)きて南狩して、その大首を得たり。疾(と)く貞(ただ)しくすべからず。

「南の巨魁の首を取れ」って、何か過激ですね。突然、豹変していません? そう言えば

君子豹変す。小人は面(かお)を革(あらた)む (革上六)

は先生のお言葉でした。「南の巨魁」とは何か、その辺をもっとお聞きしたいところですが、先ほどのが最後の質問というお約束でしたので、もう質問致しません。今日は易経先生にお越し頂きました・・・・。


・・・・易経先生、帰られました? 帰ったか。ふうっ・・・・。こわいんだよねあの先生は。

  • 実際に占いながら文章を作ったので何だかわけの分からないものになってしまいました。