M/D/1の定常状態累積分布の近似式の精度

M/G/1の定常状態累積分布の近似式」の続きです。
M//1の定常状態累積分布の近似式の精度を求めたいところですが、精度と求めるためには近似ではない正確な値を知っていなければなりません。しかしそれについてはまだ私は知っていませんから出来ません。ただしM//1については「M/D/1の定常状態分布の求め方(2)」で正確な値の求め方を見つけましたので、これを元に累積確率の正確な値を求めることが出来ます。よってM//1については、定常状態累積確率の精度を調べることが出来ます。M/D/1の場合の定常状態累積確率を正確に求めた場合と近似式

  • P(k){\approx}1-u\left(\frac{u}{2-u}\right)^k・・・・・(1)

で求めた場合の値を下のグラフで比較します。

この図から分かるように式(1)は非常によい近似になっていることが分かります。今度は、累積確率が90%以上の部分だけ拡大してみましょう。

拡大してみても近似式と正確な式の差がほとんどないことが分かります。
いろいろなジョブ数、利用率の時に比較をしてみますと、最大誤差は2.2%であることが分かりました。


以上のことから分かることはM/G/1の定常状態の累積確率の近似式

  • P(k){\approx}1-u\left(\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}\right)^k・・・・・(5)

は、M/M/1の場合には正確な式になりM/D/1の場合には±2.2%の精度の近似式になるということです。


ここからは推測ですが、M/M/1ではc_e=1、M/D/1ではc_e=0なので、式(5)は0{\le}c_e{\le}1の場合のM/G/1において、±2.2%の精度での近似式として用いることが出来るのではないか、ということです。


厳密に考えれば、これはまだ推測でしかありませんが、私はそうなると予想しています。