プルースト「失われた時を求めて――コンブレー」を読書中

今日は60ページまで。まだ、話は幼年期の主人公(この小説では最後まで主人公の名前は明らかにならないのです)がママにおやすみのキスを求めるところにとどまっています。それとは対照的に、登場人物についての描写はなかなか細に入っています。特に主人公の祖父母やその妹たち、老人の描写が愛情をもってなされています。
それとは別に、314ページ目(!)から始まる「スワンの恋」への伏線もかなり詳しく書かれています。最初読んだ時には何のことだか全然分からなかったのですが・・・・。この小説は行ったり来たり前後に動きながら読むのがよいようです。ちょうど、ある風景を愛でるのに自分の位置をいろいろ変えて眺めては、それらの印象を自分のなかで再構成するように・・・。

「スワンにはたいへんな気苦労があるのだと思うわ、あの蓮っ葉な女を奥さんにしたものだから。その女がシャルリュスさんとかいう男と、コンブレー中に知られながら、いっしょに暮らしているのですからね。町の語りぐさだわ。」母は指摘した。

この顛末は314ページに到達しないと始まらないのですが、57ページ目に上の文章は登場しています。