プルースト「失われた時を求めて――第1篇 スワン家のほうへ――第1部 コンブレー」を読みました

313ページ、第1部「コンブレー」の最後まで読みました。
このさんざん長い叙述は、

 そのようにして、私はしばしば朝までじっと考えこむのであった、コンブレー時代のことを、眠られなかった私の悲しい夜のことを、またずっと現在に近くなって一杯の紅茶の味から・・・私に映像がよみがえったあの多くの日々のことを・・・・。

ということで、ある場所(おそらくホテル)で夜、眠られなかった主人公の回想なのでした。そしてこの第1部「コンブレー」の最後の箇所で叙述は現在に、主人公が泊まっている部屋に、戻ります。


 ここまでくると第一篇「スワン家のほうへ」のタイトルの意味も分かってきます。主人公が少年時代、田舎町コンブレーで過ごした時のその家から家族で散歩に出かける方向が2つあって、その一つが「スワン家のほう」であり、その反対側が「ゲルマント家のほう」だったのです。そしてスワンは裕福なユダヤ人(よそ者)であり、ゲルマント家は8世紀から続く貴族の一族(土着の支配者)という対照があります。


 ところで、第一部「コンブレー」は第一篇「スワン家のほうへ」の半分にも満たないのです。そして「失われた時を求めて」は第七篇「見出された時」まであるという長大な作品です。正直、読むのが大変ですね。