9.4.2.共用デバイスへのスワッピング:Quantitative System Performance
「9.4.1.専用デバイスへのスワッピング」の続きです。(目次はこちら)
9.4.2.共用デバイスへのスワッピング
特により小さなシステムでは、スワッピング・デバイスもまた他の活動のために使用されがちである。スワップがこれらの活動を阻害する(そしてその反対)程度に応じて、前のサブセクションで行った解析は無効になる。ここで我々はモデルの中でスワッピングによるこの競合を表現することにする。以前のように繰返しの解析が必要になる。我々は繰返しの範囲を、負荷依存スループットの計算を含むように拡げることになる。負荷依存スループットはここではスワッピング動作についての我々の見積りとともに変化する。
アルゴリズム9.4の一般化に際して概念的な問題が発生する。すなわち、スワッピング・デバイスを表現するサービスセンターは(スワッピングが論理的に発生する)高レベル・モデルの中に現れるべきか、それとも低レベル・モデルの中に現れるべきか(というのは仮定によりこのデバイスもまたファイル動作のために使用され、ファイル動作は論理的に低レベル・モデルに属するからである。)幸いこの問題は、結果にわずかの違いしか発生しないので実際上の関心事ではない。我々はアルゴリズム9.1で用いられる高レベル・モデルに戻り、スワッピング・デバイスでの全ての動作を、つまりスワッピング動作とファイル動作の両方を、低レベル・モデルで表現することを選択する。
次に低レベル・モデルは存在する処理リソースと同じ数のセンターから構成される。これらのセンターの大部分での処理要求時間は作業負荷に固有の性質であり、測定データから決定される。しかしスワッピング・デバイスを表現するセンターでは処理要求時間は2つの構成要素からなる。1つはファイル動作によるもので測定データから決定される。もう1つはスワッピング動作によるものでアルゴリズム9.4でのように繰返し決定される。解析はアルゴリズム9.5に述べるように実行される。1.
- 中核サブシステムを構成する処理リソースを表現するサービスセンターから成る低レベル・モデルを定義する。スワッピング・デバイスを表現するサンターでは、処理要求時間は2つの構成要素を持つ。1つはファイル動作によるもので測定データから決定され、もう1つはスワッピング動作によるもので、繰返し決定される。最初はこの後者の要素はゼロに等しいと仮定する。
2.
- アルゴリズム9.1でのように、この低レベル・モデルを実現可能な個々の個体数について評価し、FESCを構築し、高レベル・モデルを評価する。
3.
例として、セクション9.3.1で考察した単純なシステムに戻ろう。4秒の固有な処理要求時間を持つディスクがスワッピングのためにも使用されると、そして100Kのプログラムの1方向スワップの処理要求時間は150msecであると、仮定する。
最初の繰返しではスワップは起こらないと仮定するので、セクション9.3.1で使用したのと同じ低レベル・モデルを評価し、同じ負荷依存スループットを得る。次にセクション9.3.1で使用した同じ高レベル・モデルを構築し評価し、準備完了ユーザの数の平均値についての同じ値、4.5を得る。ここで、繰返しを行う。なので(この例ではメモリ・キャパシティは3個の客であった。)、スワップは個々の会話に先行すると仮定する。スワッピング・デバイスでの処理要求時間はそこでの固有処理要求時間(4.0秒)とスワッピングによる処理要求時間の和に等しい。この後者の処理要求時間は1方向スワップ処理時間(0.15秒)と、スワップが会話に先行する確率(1)と、2(やはり発生しなければならないスワップからの戻りを考慮するため)の積に等しく、0.3秒である。スワッピング・デバイスでの総処理要求時間はよって4.3秒である。我々はもう一度個体数1から3までについて低レベル・モデルを評価し、それぞれ0.1075、0.1577、0.1851の負荷依存スループットを得る。これらのレートを用いてフロー等価サーバを定義した後、ふたたび高レベルモデルを評価して以下を得る。についての我々の改訂した見積もりはやはりメモリのキャパシティより大きいので、やはりスワップは個々の会話に先行し、これ以上の繰返しは不要である、と見積もる。予期したように、スループットと応答時間は、スワッピング動作を無視していたセクション9.3.1より若干悪い。
「9.5.ページング(1)」に続きます。