12.1.導入:Quantitative System Performance

11.9.演習」の続きです。(目次はこちら

12.1. 導入


 この章で我々は既存システムのベースライン・モデルの構築を検討する。この活動は考慮対象のシステムに関係するハードウェアとソフトウェアと作業負荷とモニタリング・ツールの知識に依拠している。それはまたシステム稼働中のアカウンティングとソフトウェアのモニタが記録した情報へのアクセスをも要求する。ここで我々はさまざまなシステムに適用可能な一般的方法を記述する。第17章で我々はこれらの方法を、特定のシステム(IBMのMVS)と特定のモニタリング・ツール(RMF)に基づいた例で説明する。
 第4章で我々は待ち行列ネットワーク・モデルの入力を次の3つのグループに分けた。客の記述センターの記述サービス要求時間である。この章の構成はこの分け方を反映している。
 セクション12.3は客の記述、つまりシステムの作業負荷要素の、モデルの客クラスへの対応、に充てられている。客の記述パラメータの値を特定する際に我々は以下のような質問に答える。

  • 客クラスはいくつ必要か?
  • 個々のクラスはどのタイプ(トランザクションあるいはバッチあるいは端末)であるべきか?
  • 個々のクラスの負荷強度の値(\lambda、あるいはN、あるいはNZ)はいくつであるべきか?


 セクション12.4はセンターの記述、つまりシステムのリソースの、モデルのサービス・センターへの対応、に充てられる。センターの記述パラメータの値を特定する際に我々は以下のような質問に答える。

  • モデルにはどのデバイスとどのサブシステムが含まれるべきか?
  • これらのエンティティの各々はどのように表現されるべきか(例えば、キューイング・センター、あるいはディレイ・センター、あるいはFESC、として)?


 セクション12.5はサービス要求時間、つまり客とセンターの間の相互作用の記述、に充てられる。サービス要求時間パラメータの値を特定する際、我々は以下の質問に答える。

  • 個々のデバイスの測定された使用量のどれだけの割合が個々のクラスの客に起因するとすべきか?


 これら3つのセクションに先立ってセクション12.2では、待ち行列ネットワーク・モデルのパラメータの値を決定するのに用いられる情報の概説を、つまり、そのタイプとその源泉とそれをどう管理出来るかについて示す。これらのセクションの後には、セクション12.6で、さまざまな性能尺度について適切な許容範囲を示して、ベースライン・モデルの妥当性確認を議論する。
 既存システムのモデルが性能予測に使用されるのでない限り、このモデルを構築する理由はほとんどない。よって、我々は、既存システムのベースライン・モデルを構築する仕事(この章の主題)を発展するシステムの性能を予測するためにモデルを用いる仕事(第13章の主題)と完全に分けることは出来ない。2つの仕事の間の我々の(若干不自然な)分け方は以下のようなものである。つまり、現在のモニタリングのツールと技術の制約や欠点から発生する問題はこの章で扱われることになるが、理想的なモニタリング能力があってさえ残っている問題は次の章にまで登場が延期される。


12.2.情報のタイプと源泉(1)」に続きます。