そこでまず、シバルバーの連中が球を投げた。彼らは、フンアフプーの環を目がけて球を投げつけるや、とっさに石刀に手をかけた。
球はコロコロはね返りながら、球戯場をはずんでいった。
「これじゃいったい、どうしたことですか。私たちを殺そうとでも言うんですかね。あなた方は、私たちを招いたんじゃなかったのですか。あなた方の使者がわざわざ来たんじゃありませんか。そういうことなら、私たちはすぐ帰りますよ。ああ、何と情けないことだろう」
と、フンアフプーとイシュバランケーは叫んだ。
実際、彼らが願っていたのは、そのとおりであったのである。彼らは若者たちをこの球戯場ですぐに殺してしまい、負かしてしまおうと考えていたのであった。
ところが、そうはいかなかった。・・・・・・・
- 作者: A.レシーノス,林屋永吉
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/08/25
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球戯場
腰でボールを打ち、球戯場の石の輪にボールを通すと得点になる。今で言うサッカーのような競技で試合が白熱するほど、雨が降り豊作になると信じられていた。勝った側が生贄になったとも、負けた側が生贄になったとも、言われている。