Excelによる、さまざまな待ち行列のシミュレート
「Excelによる、M/M/1のシミュレート」で示したシミュレーション結果のグラフ
が、かなりきれいに理論値と一致しているのはマグレだったようです。4回繰り返した平均でグラフを作ると下のようになりました。
まあ、それでもそれなりに理論値に近い値です。
次に、いろいろな待ち行列(ただし装置は1台)についてシミュレーションしてみました。その結果を以下に示します。以下の結果はそれぞれ4回シミュレートした結果を平均したものです。
まず、M/D/1です。この場合は理論値を求めるにはポラツェク・ヒンチンの式(「M/D/1における待ち時間の式の導出」参照。あるいは「M/G/1における待ち時間の式の導出」参照)を用いればよいです。理論値とシミュレーション結果を示します。
次に、D/M/1をシミュレートしてみました。この時はM/G/1ではないのでポラツェク・ヒンチンの式を用いることが出来ません。Kingmanの近似式と比較をしてみました。
このグラフを見るとKingmanの近似式は待ち時間を若干多めに見積もる傾向があることが分かります。しかし、この程度の誤差ならばKingmanの近似式は実用上問題ないと思います。
次に、D/M/1とM/M/1の中間の性格を持つE2/M/1をシミュレートしました。これも到着がM(ポアソン過程)でないのでKingmanの近似式と比較します。
Kingmanの近似式が結果をよく近似しているのが分かります。
次に、E2/D/1をシミュレートしました。そしてKingmanの近似式と比較しました。
Kingmanの近似式が結果をよく近似しているのが分かります。
次に、D/E2/1をシミュレートしました。そしてKingmanの近似式と比較しました。
Kingmanの近似式は待ち時間を若干多めに見積もる傾向があることが分かります。しかし、その誤差はあまり大きくありません。つまり、到着間隔の分布の変動係数が小さくなるにつれてKingmanの近似式は待ち時間を過大に見積もる傾向があるようです。
最後に、E2/E2/1をシミュレートして、Kingmanの近似式と比較しました。
Kingmanの近似式が結果をよく近似しているのが分かります。
到着間隔の分布がポアソン分布になるとKingmanの近似式はポラツェク・ヒンチンの式に一致します。ですから、上のグラフから読み取れることは、かなり広いケースにおいてKingmanの近似式は実用に役立つ、ということです。