改良したKingmanの近似式

Excelによる、さまざまな待ち行列のシミュレート」の続きです。
それにしても、D/M/1やD/E2/1での、シミュレーション結果とKingmanの近似式の間の差は、なんとか縮められないものでしょうか? 私は以前「D/M/1における待ち時間の近似式」でKingmanの近似式を改良した式を提案していました。これとシミュレーション結果を比較してみましょう。

  • D/M/1の待ち時間のシミュレーション結果
  • D/E2/1の待ち時間のシミュレーション結果


改良した式の結果は「近似2」としてグラフに示してあります。改良した式のほうがより精度が高いとこが分かります。それでは他の待ち行列の場合に、改良した式のほうがKingmanの近似式より精度が悪い、ということがあるでしょうか? これはどうやらなさそうです。まず、改良した式

  • CT_q{\approx}\frac{c_a^2+c_e^2u+c_a^2c_e^2(1-u)}{2}\frac{u}{(1-u)}t_e・・・・・(1)

c_a=1またはc_e=0のときKingmanの近似式に一致します。よってM/M/1、M/D/1、E2/D/1の場合は、改良した式の精度はKingmanの近似式の精度に等しいです。そうすると残るはE2/M/1とE2/E2/1の場合ですが、これらは実際に比較してみましょう。

  • E2/M/1の待ち時間のシミュレーション結果
  • E2/E2/1の待ち時間のシミュレーション結果


これらの結果からどちらが精度が高いか述べるのは難しそうです。おそらく同等の精度でしょう。よって、改良した式は全体としてKingmanの近似式より精度が高い、と言えそうです。