D/M/1の確率分布の変化(3)

D/M/1の確率分布の変化(2)」で求めた

  • \frac{p(j,t)}{p(j,0)}=r(t)・・・・(9)

は、j{\ge}1の場合のp(j,t)の時間変化を表すものでした。最後にp(0,t)の時間変化を求めておきます。
全確率の定理から

  • p(0,t)=1-\Bigsum_{j=1}^{\infty}p(j,t)・・・・(18)

です。式(18)に式(9)を変形して代入すると

  • p(0,t)=1-\Bigsum_{j=1}^{\infty}r(t)p(j,0)=1-r(t)\Bigsum_{j=1}^{\infty}p(j,0)
  • =1-r(t)\Bigsum_{j=1}^{\infty}p(j-1)=1-r(t)\Bigsum_{j=0}^{\infty}p(j)=1-r(t)

よって

  • p(0,t)=1-r(t)・・・・(19)

となります。t=0の時は

  • p(0,0)=1-r(0)=1-1=0

です。これはジョブ到着直後には必ずジョブが少なくとも1つはシステム内に存在するので、当たり前です。t=Tの時は

  • p(0,T)=1-r(T)=1-b

です。これは

  • p(0,T)=p(0)=1-b

なので、これも当たり前です。つまり、p(0,t)t=0からt=Tにかけて0から1-bまで増加する、ということです。次にp(0,t)の時間平均E[p(0,t)]を求めましょう。式(19)から

  • E[p(0,t)]=1-E[r(t)]

ここで「D/M/1の確率分布の変化(2)」の式(17)

  • E[r(t)]=u・・・・(17)

を用いれば

  • E[p(0,t)]=1-u・・・・(20)

p(0,t)というのは装置が空いている確率なので、その平均値が1-uになるというのは理にかなっています。M/G/1待ち行列ではPASTAによって、ジョブが到着する直前に装置が空いている確率は、装置が空いている時間平均

  • 1-u

と等しくなりますが、D/M/1ではPASTAが成立しませんので、等しくなりません。装置が空いている時間平均は、M/G/1の時と同じく

  • 1-u

ですが、ジョブが到着する直前に装置が空いている確率はp(0,T)なので、上に見たように

  • p(0,T)=1-b

になります。