D/M/1の定常状態確率
以前「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」で求めたのはD/M/1待ち行列のジョブ到着時の状態確率でした。時間平均での、システムが特定のジョブ数を有している確率は求めておりませんでした。この2つの分布は、到着過程がポアソン過程(M)ならばPASTAによって等しい分布になるのですが、D/M/1ではそうではないのでこの2つの分布は異なります。「D/M/1の確率分布の変化(2)」「(3)」の結果を用いることで時間平均でのD/M/1の定常状態確率を求めることが出来ます。今まで、ジョブ到着時にシステム内にジョブが個ある確率をで表してきましたが、これはまぎらわしいのでで表すことにします。そうすると「D/M/1の確率分布の変化(1)」の式(1)は、以下のように書き直されます。
- ・・・・(1)
一方、時間平均でみたシステム内にジョブが個ある確率(=定常状態確率)をで表すことにします。これは定義から
- ・・・・(2)
となります。
まず、の場合を考えます。「D/M/1の確率分布の変化(2)」の式(9)(ここでは番号を振り直して式(3)とします)
- ・・・・(3)
と式(17)(ここでは番号を振り直して式(4)とします)
- ・・・・(4)
を用いれば
ここで式(2)を用いれば
- ・・・・(5)
ここで「D/M/1の確率分布の変化(1)」の式(1)(ここでは番号を振り直して式(6)とします)
- ただし・・・・(6)
を用いれば式(5)は
- ・・・・(7)
ここで式(1)を用いれば、式(7)は
- ・・・・(8)
ここで「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」の式(13)(ここでは番号を振り直して式(9)とします)
- ・・・・(9)
を用いれば、式(8)は
よって
- の時
- ・・・・(10)
となります。「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」の式(14)から
- ・・・・(11)
なので、これを式(10)に代入すると
- の時
- ・・・・(12)
となります。については、D/M/1が装置を1台しか持っていないことを考慮すれば
- ・・・・(13)
となります。
よってまとめると
- ・・・・(13)
- の時
- ・・・・(12)
ただしは
- ・・・・(13)
を満足する値(「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(2)」の式(16)参照。ここでは番号を振り直して式(13)としました)です。