昔の痛い思い出が教える・・・・(3)

昔の痛い思い出が教える・・・・(2)」の続きです。
このような問題を解消するために

  • 1-\Pi(M/M/s)=\Bigsum_{k=0}^sp(k)・・・・(14)

を用いてp(0)の近似値を求める方法が考えられます。式(1)

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(1)

を用いれば式(14)は

  • 1-\Pi(M/M/s){\approx}p(0)\Bigsum_{k=0}^s\frac{(su)^k}{k!}・・・・(15)

となるので、

  • p(0){\approx}\frac{1-\Pi(M/M/s)}{\Bigsum_{k=0}^s\frac{(su)^k}{k!}}・・・・(16)

となります。ここで\Pi(M/M/s)の近似式(6)

  • \Pi(M/M/s){\approx}u^{\sqrt{2(s+1)}-1}・・・・(6)

を用いれば式(16)は

  • p(0){\approx}\frac{1-u^{\sqrt{2(s+1)}-1}}{\Bigsum_{k=0}^s\frac{(su)^k}{k!}}・・・・(17)

となります。式(17)から導かれるp(0)の値は式(2)

  • p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(2)

で求めたp(0)の値に近い値になります。しかし、式(17)を計算する労力を許すのであれば、式(2)を計算する労力も許されてしかるべきです。両者の計算の面倒さはほとんど変わりありません。よって式(17)を使う理由はありません。結局このことは
[tex:k

  • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(1)

であり、p(0)には式(2)を用いるしかないことを示しています。式(2)を計算する労力を許すのであれば、\Pi(M/M/s)についても

  • \Pi(M/M/s)=\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(5)

を計算する労力を許すことになり、結局、\Pi(M/M/s)の近似式(6)を用いる理由はなくなってしまいます。よって結論は

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(1)
    • ただし、p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(2)
  • k{\ge}sの時
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\Pi(M/M/s)・・・・(3)
    • ただし
      • b=\frac{(1+c_e^2)u}{2-(1-c_e^2)u}・・・・(4)
      • \Pi(M/M/s)=\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(5)

であり、これをより簡略化することは出来ない、という結論になります。もし、k{\ge}sの場合のp(k)の近似式を考えるのであれば

  • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)u^{\sqrt{2(s+1)}-1}・・・・(10)

という近似式も利用価値があります。しかし[tex:k