伊勢神宮の謎を解く
伊勢神宮の謎を解く アマテラスと天皇の「発明」 (ちくま新書)
- 作者: 武澤秀一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/03/09
- メディア: 新書
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また、建築家という職業がそうさせるのか、本に載せられたモノクロの写真にも素敵なものが多いです。例えば、三内丸山遺跡に巨大な竪穴建物があるのは私は勉強不足でこの本を読むまで知りませんでしたが、この建物の内部の写真が載っています。それを見た時、「これはマオリ族の集会場だ」と直感しました。マオリ族の集会場そのものではないのですが、復元された内部にはそれを思わせる雰囲気が充満しています。そこでは族長と部族の者達の対話がなされていたような気がしました。それは私達の知っている日本のイメージよりかなり異質な雰囲気です。このように何かを感じさせる写真が多いのです。あるいは、桧原神社の三ツ鳥居の写真。この写真に引かれて、私は5月に実物を見に奈良県まで行ってしまいました(三輪山 纒向(まきむく)(3))。
(これは私の写した写真であって、本に載っている写真はもっと神々しい)
話を最初の「なぜ二つの御神体がまつられたのか?」に戻しますと、著者によればこの2つの御神体は鏡と心御柱(しんのみはしら)の2つのことです。心御柱というのは伊勢神宮正殿の真ん中にある柱のことですが、この柱は奇妙な柱であって、実際には柱の用をなしていないのです。この柱は大変短く、何も支えていません。そして、心御柱は秘中の秘であって、これについては何も言ってはいけないことになっています。著者はこの柱は本来はもっと大きな柱かあるいは高木であったと推測し、それを高木の神とも呼ばれるタカミムスヒに結び付けています。本来、伊勢神宮に祭られていたのはタカミムスヒだというのが著者の推測です。(ここについても私は納得してはいないのですが・・・・)
ついつい、文句をつけてしまうのですが、私にとってはひさびさに収穫の多い本でした。