滝祭神(たきまつりのかみ)



昨日参拝したのは、伊勢神宮の内宮のほうにある、滝祭神です。私はこのエントリーを書くまでこのお社は「たきまつりのみや」という名前だとばかり思っていましたが、立て札に書いてある名前は「たきまつりのかみ」でした。滝祭神は五十鈴川のほとりに鎮座されています。



秋を感じさせます。とはいえ伊勢では紅葉は、12月になってからです。






これは滝祭神へ行く道です。






ご鎮座されているのは、五十鈴川のほとりです。





確かに「滝祭神」と書かれています。「滝祭宮」ではありません。





これが滝祭神です。このお社には社殿がありません。玉垣の内には、ただ石で囲んだ土台があるだけです。


山本ひろ子さんの「中世神話」(ちなみにこの本は私の大好きな本の1つです)

中世神話 (岩波新書)

中世神話 (岩波新書)

には、滝祭神について興味深い伝承があることを記述しています。ところで山本ひろ子さんもこのお社のことを「滝祭宮」と呼んでいます。お社を「宮」と呼ばずに「神」と呼ぶことが変なのだと思います。

滝祭の神は、内宮正殿の北、五十鈴川のほとりの清浄な地に、石畳を設け、玉垣をめぐらして祀られてきた。(中略)
 やがてこの地底の社が、常世の国や龍宮と観念され、水神=龍神説が定着すると、天の瓊矛(ぬほこ)の鎮座地とみなされるようになった。

まず、このお社の地下に龍宮があるというのが、おもしろいです。私は参拝する時にこの地下に龍宮があると想像して参拝します。そしてその龍宮にいるのは八大竜王、すなわち雨の神です。今年は水害が多いので私は昨日、八大竜王に「もう、これ以上、集中豪雨をもたらさないで下さい」とお願いしました。
上の引用でもうひとつ面白いのは、この地下に「天の瓊矛(ぬほこ)」が納められている、という伝説があることです。「天の瓊矛(ぬほこ)」とは中世日本神道思想において、インディー・ジョーンズの「失われたアーク」に匹敵する聖なる物体、というか、日本の原型(アルケー)なのでした(「天の瓊矛(ぬほこ)」については「北畠親房、伊勢に失われたアークを探す」を参照下さい)。現代では、内宮の「所管社」の扱いですが、なかなかおもしろい伝説を担うお社です。