「待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式(4)」の続きです。
3.3.2 他の分布関数
3次以上のモーメントの影響を判断するために、他の多くのタイプの分布関数が調査された。例として、同じ平均と変動係数を持つ3つの異なる分布関数を示した図3.4を考察する。
以下のタイプがE2分布関数と比較される。
- ステップ関数。ここではと呼ばれ、幾何分布の高さを持つ。
- 関数タイプDM。定数とマイナスの指数分布の部分の合計として記述出来る(である全ての変動係数を採用することが出来る。*1参照)。
図3.5a, bは、これら3つのタイプ、E2、、DMを到着間隔分布とサービス時間分布のタイプとして持つ、全部で9つの システムについて平均待ち時間と待ちの確率についてのシミュレーション結果の例を示す。
- 図3.5a,b
- さまざまなシステムの平均待ち時間と待ちの確率。(1=E2/E2/1、2=E2//1、3=E2/DM/1、4=/E2/1、5=//1、6=/DM/1、7=DM/E2/1、8=DM//1、9=DM/DM/1)
さらに(1.3)と(1.4)による近似結果が水平線で示されている。
見て分かるように、待ちの確率における誤差は非常に低いが、平均待ち時間は時々、これらの特別なタイプの分布関数について過大に見積もってしまう。
1つだけ重大な場合が観測されたが、そこでは1次と2次のモーメントの近似は見積もりにおいてさえ効率的でない。これはとサービス時間についての(退化した)2ステップ分布関数を持つシステムであり、サービス時間もまた許容しているものである。そのような
であるD/P2/1システムについては待ちはまったく発生せず、それはもちろん1次と2次のモーメントの近似では反映することが出来ない。これは非常に特殊で退化した場合なので近似は一般には推奨出来ない。
W. Kraemer and M. Langenbach-Belz,「Approximate Formulae for the Delay in the Queueing System GI/G/1」より
*1:KRAEMER, W. Investigations of Systems with Queues in Series (Untersuchung von Systemen mit seriellem Warten) Dissertation Uiversity of Stuttgart 1975 and 22nd report on Studies in Congestion Theory, Institute of Switching and Data Technics 1975 (In German)