Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(33)

原文は

から入手出来ます。


5.2.2. システム内個数N
 私のc_N^2の近似手法はE(N^2)の予備的近似から始まる。つまり、

  • E(N^2)\approx{S}(\rho,c_a^2,c_s^2,m)\equiv{P}(Q(\rho,c_a^2,c_s^2,m)>0)(m^2+2mEC+E(C^2))
    • +P(Q(\rho,c_a^2,c_s^2,m)=0)(\min\{m^2,(\rho{m})^2+\rho{m}z\})・・・・(5.9)

ただしP(Q(\rho,c_a^2,c_s^2,m)>0)はセクション5.1のEC=(EQ)/P(Q>0)より求められ、E(C^2)=(c_C^2+1)(EC)^2c_C^2はセクション5.2.1から求められ、(3.8)にあるようにz=(c_a^2+c_s^2)/(1+c_s^2)である。公式(5.9)は、P(Q>0)が1かゼロに近い時に通常良好である近似の凸結合である。具体的には、P(Q>0)\approx{1}ならばN\approx{m}+Cであり、EN^2\approx{E}((m+C)^2)=m^2+2mEC+EC^2である。反対に、P(Q>0)\approx{0}は有限サーバモデルは無限サーバモデルによってよく近似出来ることを意味するので、GI/G/\inftyモデルについての(3.5)の重負荷近似を用いる。よって、Nは近似的に(3.8)のzについてN(\rho{m},\rho{mz})のように分布しているとみなすので、E(N^2)\approx(\rho{m})^2+\rho{mz}である。最小値は主に小さなmについての修正として導入される。Q=0とするとN{\le}mなのでN^2{\le}m^2。大きなmについては、(\rho{m})^2+\rho{mz}は通常m^2より小さいが、しばしば小さなm、たとえばm=1、についてはそうでない。
 c_N^2についての実際の近似式をM/M/mの正確な値と(5.9)を含む比を用いて得る。具体的には

  • c_N^2(\rho,c_a^2,c_s^2,m)+1\approx\frac{EN^2(M/M/m)S(\rho,c_a^2,c_s^2,m)}{[EN(\rho,c_a^2,c_s^2,m)]^2S(\rho,1,1,m)}・・・・(5.10)

ただしEN^2(M/M/m)=(c_N^2(M/M/m)+1)(EN(M/M/m))^2M/M/mの正確な値

  • c_N^2(M/M/m)=\frac{\rho{m}(1+\delta)+(1-\rho)^{-2}(\delta\rho+\delta(1-\delta)\rho^2)}{[\rho{m}+(1-\rho)^{-1}\delta\rho]^2}・・・・(5.11)

であり[HalfinとWhitt 1981、公式(1.8)]、\delta\equiv{P}(N{\ge}m)はアーランC公式(2.3)である。(5.10)でS(\rho,c_a^2,c_s^2,m)は(5.9)で与えられ、

  • S(\rho,1,1,m)=\rho\delta\left(m^2+2m\frac{EQ}{\rho\delta}+\frac{E(Q^2)}{\rho\delta}\right)
    • +(1-\rho\delta)(\min\{m^2,(\rho{m})^2+\rho{m}\})
    • =\rho\delta{m}^2+2m\delta\rho(1-\rho)^{-1}+(1+\rho)(\delta\rho)(1-\rho)^{-2}
    • +(1-\rho\delta)(\min\{m^2,(\rho{m})^2+\rho{m}\})・・・・(5.12)

で(2.5)でのようにEQ\equiv{E}Q(\rho,1,1,m)=\delta\rho/(1-\rho)でありE(Q^2)\equiv{E}(Q^2)(\rho,1,1,m)=(EQ)^2(c_Q^2+1)で上述のようにEQ=\delta\rho/(1-\rho)であり(5.6)で決定されるようにc_Q^2\equiv{c}_Q^2(\rho,1,1,m)=(\rho+1-\rho\delta)/\rho\deltaである。
 最後に、E(N^2)(\rho,c_a^2,c_s^2,m)を(5.9)から直接にではなく、(5.3)と(5.10)を組合わせることによって得る。