カルヌントゥムのマルクス・アウレーリウス
カルヌントゥムはドナウ河沿いの古代ローマの都市。ドナウ河はローマ帝国の国境だったので、この都市は国境警備のために建てられた都市である。古代ローマの皇帝マルクス・アウレーリウスの自省録の第2巻の末尾には「カルヌントゥムにて」と書かれている。岩波文庫の「自省録」
- 作者: マルクスアウレーリウス,神谷美恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 文庫
- 購入: 21人 クリック: 118回
- この商品を含むブログ (155件) を見る
・・・・しからば我々を導きうるものはなんであろうか。一つ、ただ一つ、哲学である。・・・・またなにごともでたらめに行わず、なにごとも偽りや偽善を以てなさず、他人がなにをしようとしまいとかまわぬよう、あらゆる出来事や自己に与えられている分は、自分自身の由来するところと同じ所から来るものとして、喜んでこれを受け入れるよう、なににもまして死を安らかな心で待ち、これは各生物を構成する要素が解体するにすぎないものと見なすように保つことにある。もし個々のものが絶えず別のものに変化することが、これらの要素自体にとって少しも恐るべきことでないならば、なぜ我々が万物の変化と解体とを恐れようか。それは自然によることなのだ。自然によることには悪いことは一つもないのである。
於カルヌントゥム
中山さんが「クラウディオ・マグリス著『ドナウ ある川の伝記』」で紹介されていた「ドナウ ある川の伝記」
- 作者: クラウディオ・マグリス,池内紀
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2012/05/31
- メディア: 単行本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
彼は述べているが、魂はみずから形成する形象の色をおび、個人の価値は、それぞれが意味づけする事物とは切っても切れないつながりをもつ。おそらくこれは、一人の人間の本質が認識し、歴史と本性の鍵として認めた精神的ひらめきのもっとも重要なものの一つだろう。われわれはわれわれが信ずる、まさにその者であり、自分の精神に宿している神々、高貴もしくは迷妄の信仰は消し難いしるしを刻印する。特徴をしるしづけ、動作、行動を規定し、人間のありかた、生存そのものとなる。
クラウディオ・マグリス著、池内紀訳「ドナウ ある川の伝記」より