ホップフィールドネットワーク(9)
「ホップフィールドネットワーク(8)」の続きです。
次に、全ての場所(都市)を訪問した時の距離の合計値を数式に表すことを考えます。巡回セールスマン問題は、どの場所も必ず1回だけ訪問するという制約の中でこの距離の合計値を最小にするような訪問順序を求める問題でした。よってこの距離の合計値が最小になればよいわけです。まず、場所からまでの距離をD_{ij}で表すことにします。例として、下の図のパターンを考えます。
すると総距離は(場所A, B, C, D, Eが数字の1, 2, 3, 4, 5で表されることに注意すれば)
- ・・・・(30)
で表すことが出来ます。この数式を任意のパターンに拡張することを考えます。さて、は1か-1の値を取る変数でした。の時は1、の時は0になるような数式を考えると
- ・・・・(31)
を思いつきます。これを用いれば、図10のパターンの場合
- ・・・・(32)
となります。(31)がの時は1、の時は0になることを考慮すれば
- ・・・・(33)
と書くことが出来ます。ここから一般のパターンの場合、最初の距離は
- ・・・・(34)
と書けることが分かります。同様に考えて、あとの3つの場所間の距離は
と書けることが分かります。よって一般のパターンの場合、総距離は
- ・・・・(35)
となります。よって、巡回セールスマン問題を解くためのエネルギー関数は
よって
-
- ・・・・(36)
となります。この式を展開し、
- ・・・・(14)
の形に整えたときに現れるの値をホップフィールドネットワークのシナプス係数として設定すれば、そのホップフィールドネットワークの安定状態では、巡回セールスマン問題の解を示すようなパターンが現れることになります。
以上のように、私は一度は考えたのですが、その後、疑問が出てきました。その疑問については次回述べます。