ベーオウルフ
ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉 (サトクリフ・オリジナル (7))
- 作者: ローズマリサトクリフ,Rosemary Sutcliff,井辻朱美
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2002/09/01
- メディア: ハードカバー
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ベーオウルフはイギリスに伝わる古い英雄伝説ですが、その舞台はイギリスではなくデンマークやスウェーデンです。この話は
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- 作者: ドナルド・A.マッケンジー,Donald A. Mackenzie,東浦義雄
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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でも読んだことがあるのですが、今回のこの本の(ローズマリ・サトクリフによる)再話のほうが文章が優れています。簡潔な文章が、古代の夜の集会での語りの調子とその語りの背後にある静けさを感じさせます。たとえば、こんなような文章です。
老人は長い沈黙のあと、考えこみながら言った。「よもやと思うた・・・・が、たとえ百の戦士の中にまぎれておろうとも、そちの顔にははっきり見覚えがあるぞ。最後に会うたときのそちは、肩の高さが猟犬のガルムと同じくらいであったがな。わが門番たるセイン、ウルフガールがイェーアトの王の甥御ベーオウルフ殿が来て、外の客用腰掛けで待っておられると申すのをきいて、わしの心は躍った――このうえもなく嬉しいお越しじゃ。歓迎いたす、そちもお仲間も。しかし、なぜそちも、父上と同じようにここへ来られた? ウェルヴィングの誰かを手にかけられたか」
ベーオウルフは、老人の面上につかのまひらめいた悲しげな微笑に、かぶりをふって答えた。「いえいえ、フロースガール王。海を往く者がイェーアトに参って、デネの王と民の上にふりかかった災厄を語ってくれました。それゆえ、わたしと、剣の兄弟は、夜中にヘオロットを徘徊するものを追い払うお手つだいをいたすべく参ったのです。ひとはわが腕を三十人力と申します」
短い話なので1日で読めました。ゲルマンの諸伝説の中で一番優れたものではないかと思います。今度は再話ではなく、元々の語りを
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- 作者: 忍足欣四郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1990/08/16
- メディア: 文庫
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で読んでみようか、と思いました。
ところで上の引用にデネとイェーアトの2つの王国名が登場します(上の引用の個所ではフロースガールがデネの王、ベーオウルフはイェーアトの王の甥です)。デネが今のデンマークだということは私は知っていました。ではイェーアトはどこか、と思ってWikipedia日本語版の「ベオウルフ」のところを読んだところイェーアトとは書かれておらずイェータランドと書かれていました。さらにWikipediaの「イェータランド」を見ると
イェータランド(Götaland)とはスウェーデンの地方区分の一つで、南部の10地方を指す。ノールランド、スヴェアランドと共にスウェーデンの歴史的地方区分を構成する。
と書かれてありました。ここで注目したのは「Götaland」という綴りです。これはゴート族を連想させる名前です。これに関してはもう少し調べてみようと思います。