ホップフィールドネットワーク再検討(2)
「ホップフィールドネットワーク再検討(1)」の式(8)
- ・・・・(8)
は、ニューロンの出力の更新によってエネルギーが増加しないことを示す式でした。「ホップフィールドネットワーク再検討(1)」では、ニューロンの入力と出力の関係を
- ・・・・(3)
- ・・・・(4)
としましたが、一般には、しきい値を持つ形
- ・・・・(10)
です。式(8)からエネルギーの式を、しきい値がある場合に拡張出来そうなので、試してみます。
式(8)と(10)から
- ・・・・(11)
ここで、エネルギーは全てのニューロンについて同等な式であることを考えると
- ・・・・(12)
となることが分かります。実際に式(12)から(11)を導くことが出来ます。
これで、エネルギーの式を、しきい値がある場合に拡張することが出来ました。では、「ホップフィールドネットワーク理解に向けての準備体操(7)」で行ったように、ある状態が与えられた時にその状態を安定状態にするようなシナプス係数としきい値をどのように決めればよいでしょうか? が1か−1の値を取る場合は、「ホップフィールドネットワーク理解に向けての準備体操(7)」で見てきたように、しきい値はとし、シナプス係数は
- ・・・・(13)
とすればよいでしょう。では、が1か0の値を取る場合はどうでしょうか? これは式(12)を
- ・・・・(14)
の形に書き直して考えればよいと思います。なお、式(14)を展開すると定数項が現れて、式(12)と形が一致しませんが、エネルギー関数は、それがどの状態の時に極小や最小になるかが重要であって、その絶対値が重要なわけではありません。定数項はどの状態の時にエネルギー関数が極小や最小になるかということに影響を与えないので、定数項の差は無視してかまいません。
式(14)のように変形すると、はかの値をとるので、がかの値を取っていた「ホップフィールドネットワーク理解に向けての準備体操(7)」と同じように考えることが出来ます(この場合、1とかとかという絶対値が重要なのではなくて、絶対値が同じで符号が異なる2つの状態がある、ということが重要なので)。よって、
- ・・・・(15)
とすればよいことが分かります。では、しきい値のほうは、どのように設定すればよいでしょうか? 式(14)を展開すると
よって
- ・・・・(16)
ここで、定数項は無視できるので
- ・・・・(17)
式(17)と式(12)を見比べると、しきい値は
- ・・・・(18)
と設定すればよいことが分かります。