ニューラル・コーディング(1)


ニューラルコーディング
ニューラル・コーディングは、刺激と個々のあるいは集合の神経の応答の間の関係と、集合内のニューロンの電気的活動の間の関係を、特徴付けることに関心を持つ神経科学に関係する分野である。感覚と他の情報は脳内でニューロンのネットワークによって表現されるという理論に基づき、ニューロンはデジタルとアナログの両方の情報を符号化出来ると考えられている。

1.概要

ニューロンは体内の細胞の中で、信号を長距離に迅速に伝達する能力において目立っている。活動電位と呼ばれる特徴的な電気的パルスを、つまり神経線維を進むことが出来る電位のスパイクを生成することで、それらはこれを実現している。感覚ニューロンは、光、音、味覚、におい、触覚のような外部感覚刺激の存在によって、さまざまな時間的パターンで活動電位のシーケンスを起動(発火)することによって自分の活動を変化させる。刺激に関する情報はこの活動電位のパターンとして符号化され、脳へそして脳内で伝達されることが知られている。活動電位が期間、振幅、形状において若干変化するにもかかわらず、ニューラル・コーディングの研究においてそれらは、同一の決まりきったイベントとして典型的に扱われる。活動電位の短い期間(1ms程度)を無視すれば、活動電位の動き、すなわちスパイク列、は、時間における全か無かの点イベントの連続として単純に特徴づけられる。スパイク列内の2つの連続するスパイク間の間隔の長さ(ISI: Interspike interval)はしばしば、一見したところランダムに変化する。ニューラル・コーディングの研究は、光や音の強さのような刺激の属性や、腕の動きの方向のような運動が、ニューロンの活動電位やスパイクによってどのように表現されるかの測定と特徴づけを含む。ニューロンの発火を記述し解析するために、統計的手法と確率論の方法と確率点過程が広く適用されてきた。
大規模な神経の記録と復号化の技術の開発とともに、研究者はニューラル・コードを解読し始め、すでにリアルタイムのニューラル・コードにおいて、記憶は海馬で、すなわち記憶形成の中心として知られる脳の領域で、形成され想起されるという最初の兆候を提供した。神経科学者はいくつかの大規模脳復号化のプロジェクトを開始した。

2.符号化と復号化

刺激と反応の間の関連は2つの反対の観点から研究出来る。ニューロン符号化は刺激から反応への写像を参照する。主要な注目点はニューロンが広範囲の刺激にどう反応するかを理解し、他の刺激に対する反応を予測するためのモデルを構築することである。ニューロン復号化は、反応から刺激への逆写像を参照し、その課題は、刺激が引き起こしたスパイク・シーケンスから刺激を、あるいはその刺激のある局面を再構成することである。

3.コード体系

スパイクのシーケンスすなわち列はさまざまなコード体系に基づいて情報を含んでいるだろう。例えば運動ニューロンでは、刺激された筋肉が収縮する強さはもっぱら「発火レート」、つまり単位時間あたりの平均スパイク数に依存している(レート・コード)。その一方、複雑な「時間コード」は単一スパイクの精密なタイミングに基づいている。それらは視覚や聴覚の組織におけるように外部刺激に固定されているかあるいは、神経回路によってもともと生成されるのであろう。
ニューロンがレート・コーディングと時間コーディングのいずれを用いるかは神経科学コミュニティの中で集中した議論の話題であるが、これらの用語が意味するものの明確な定義がない。「神経電気力学」と呼ばれるある理論では、以下のコード体系が全て付帯現象であると考えられており、その代わり、活動電位の電磁的な広帯域の結果としてニューロン内部の電場の空間分布を反映する分子変化に置き換えられ、情報内にスパイク指向性として現れる。