線形代数学の復習:実対称行列は対角化可能である(2)
【補題2】
実対称行列の固有値は全て実数である。
(証明)
- が実対称行列であるとします。をの固有値とします。すると固有値の定義からとなるようなゼロベクトルでない固有ベクトルが存在することになります。ただし、まだここでは、が実ベクトルであるとは言えません。
- ベクトルとの内積を
- で定義します。ただしはの転置を、はの複素共役を表します。すると
- ・・・・(1)
- となります。一方
- ・・・・(2)
- となります。ここでは対称行列なのでです。さらに実行列なのでです。よって(2)の右辺は
- ・・・・(3)
- となります。(1)(2)(3)から
- ・・・・(4)
- となります。の定義からならばです。そしては固有ベクトルなのでです。よってとなります。よって(4)から
- となります。よって、固有値は実数であることになります。よって、実対称行列の固有値は全て実数であることが証明されました。