ニーチェ 藤田健治著

この本を買ったのは古く、本の発行年を見ると昭和62年になっているので1987年、今からちょうど20年前になります。ニーチェは思春期の頃から惹き付けられていましたが、それでもいつもニーチェを理解することは出来そうにないような気がしてきました。
去年トリノ・オリンピックなので、テレビでトリノの町が紹介された時、「ああ、あそこでニーチェは発狂したんだ」と思いました。今ではニーチェが発狂した年齢(45)よりも自分の方が年上になってしまいました。下はニーチェが発狂直後、友人ブルクハルトに送った手紙の冒頭です。この文章は、この本で初めて知りました。

結局のところ、私はバーゼル大学の教授である方が神となるよりもずっとよかったと思います。しかし、私個人の利己心にかまけて世界創造をやめることを敢えてすることはできませんでした。人はどこでまたどういうふうに生きていようと、犠牲を払わずにはいられないものですね。

「人はどこでまたどういうふうに生きていようと、犠牲を払わずにはいられないものですね。」というくだり、ちょっとほろっとさせられます。
昔はただニーチェの文章を読んで夢中になっていたのですが、今ではニーチェは生活費をどうやって得ていたのだろう、などと思ってしまいます。(この本でもそれは明らかになりませんが)