Factory Physicsの冷静さ

ゴールドラットの「チェンジ・ザ・ルール」を読んでいる関係上、ウェブ内のTOC(制約理論)関係のページのいくつかを最近私は斜め読みしていますが、TOCに関係する記述にはどこかしら熱狂的な感じがただよいます。対照的にFactory Physicsの記述からは熱狂とはほど遠い印象を受けます。このようなFactory Physicsの態度を表明している箇所を探していて、以下のような記述を見つけました。

今回我々が提示できるファクトリ・フィジクスの諸関係は歴史的な実践から来た洞察や待ち行列理論から来た等式や我々自身の研究の少数の結果の組合せである。しかしファクトリ・フィジクスは業界用語(CUSCUS注:たぶん「はやり言葉」の意)ではない。全ての状況に対して1つの解決策を提供することは簡単ではないしそれを装うわけでもない。ファクトリ・フィジクスは単に、在庫サイクルタイムスループットキャパシティ変動顧客サービスなどといった基本的な製造関係の数量の間の基本的な関係を提供するだけである。製造の科学の文脈でこれらの関係を、たとえそれが不完全なものであっても、理解することで読者が効率的な製造事業を設計し制御することが出来るようになるだろう。
Factory Physics 6.1.3 規定的モデルと記述的モデル から)

Factory Physics製造の科学を目指すものであるが、まだその小さな一歩でしかない、Factory Physicsは「基本的な製造関係の数量の間の基本的な関係を提供するだけ」であるが、それはいろいろな状況に対して1つの万能な解決策が存在することを疑っているからだ、という考えが読み取れます。第6章 製造の科学を私はもう一度丁寧に読み返す必要があるのかもしれません。


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