キメラ 満洲国の肖像
- 作者: 山室信一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/07/01
- メディア: 新書
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政治とはなんと複雑で難しいものでしょうか。ここには主役になる者はついに一人も登場しなかったのでした。
満洲国は血と恐怖を代償としながらも、さまざまな人々の多種多様な夢を揺籃として育つはずであった。しかし、打算は夢を駆逐し、利害は希望を打ち砕いていく。建国理念はただ現実を糊塗し、隠蔽するだけの機能しか持ちえなくなる。人々は満洲国にかけた夢が幻想であったことにいやおうなく気づかされ、それがそもそも自分の掌中になどなかったことをしたたかに思い知らされることとなった。
この本の中で印象に残った人物は、橘撲(たちばな しらき)と鄭孝胥です。