故障と段取りの考慮

Kingmanの近似式とその拡張でWhittの近似式

を紹介しましたが、Factory Physics第8章 変動の基礎では、さらに装置故障と段取りの影響をこの式にどう反映させるかについても説明しています。具体的にはt_ec_eの値に装置故障や段取りに関する要因を反映させます。ここでは、導出方法の説明を省略してその結論だけを紹介します。

故障の考慮

  • t_e=\frac{t_0}{A}と置く。ただし
  • c_e^2=c_0^2+(1+c_r^2)A(1-A)\frac{MTTR}{t_0}と置く。ただし
    • c_0:装置故障の影響を除外した、本来の装置処理時間の変動係数
    • c_r:故障時間の変動係数

段取りの考慮

  • t_e=t_0+\frac{t_s}{N_s}と置く。ただし
    • t_s:平均段取り時間。
    • N_s:段取りから次の段取りまでの平均ジョブ
  • c_e^2=\frac{{\sigma}_e^2}{t_e^2}と置く。ただし
    • {\sigma}_e^2={\sigma}_0^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}
    • {\sigma}_0:段取りの影響を除外した、本来の装置処理時間の標準偏差
    • {\sigma}_s:段取り時間の標準偏差

これによって、装置故障や段取り替えのサイクルタイムへの影響を近似的に計算することが出来ます。