白村江

白村江 (講談社現代新書)

白村江 (講談社現代新書)

白村江は韓国の古代の地名ですが、白村江と書いて日本ではなぜか伝統的に「ハクスキノエ」と読みます。「ハクスキノエ」の「ノエ」は「の江」で日本語で一方「ハク」は白の音読みであると理解できますが、なぜ村を「スキ」と読むのか。これは古代の韓国語の音を写したものという説もありますが、それなら何故全部韓国語にしなかったのか、私には謎に思える事柄がここにもあります。ちなみに韓国側では「白村江」ではなく「白江」というようです。
それはさておき、この本は私が初めて買った遠山さんの本です。そして私にはこの本が一番おもしろいと思いました。唐の高宗、日本の中大兄皇子百済義慈王新羅の金春秋(のちの太宗武烈王)、とそれぞれの思惑と彼らの置かれた立場がからみあって白村江の戦いへと進んでいきます。
目次は以下のようになっています。

プロローグ 捕虜たちの生還
第一部 白村江への道
 1.玄武門の変の落とし子  唐−高宗
 2.大化から白雉へ  倭国孝徳天皇
 3.海東の會子  百済義慈王
 4.姿顔美くして  新羅−金春秋
 5.興事を好む  再び倭国斉明天皇
第二部 検証 白村江の戦い
 6.君臣みな俘となる  百済滅亡の日
 7.亡びたる国を興す  百済の遺臣たち
 8.潮もかないぬ  斉明女帝、西へ
 9.織冠を以て豊璋に授く  百済冊封
 10.飢えは後なり、亡びは先なり  周留城の亀裂
 11.腐った狗のような・・・  福信斬られ
 12.海水みな赤し  倭船四百艘炎上す
エピローグ 敗戦史観を見直す

私の好きな本のひとつです。おもしろいと感じたのは、この頃の日本(当時は倭国)が、かなり国際的感覚を持って行動していたように思えるところです。それは、自国の独立がかかっていたからでしょう。