局所最適化

2日の「ロットサイズ縮小によるセットアップ(段取り)増加について」で紹介しました「ザ・ゴール」の引用で思い出すことがあります。
私は昔、半導体ファブのディスパッチングルールを設計したことがありますが、その時になるべくセットアップ(段取り)が少なくなるように、同じレシピ(処理条件)のロットをなるべく続けて装置に供給するようなディスパッチング・ルールをいろいろな工程に適用しました。しかし、「ロットサイズ縮小によるセットアップ(段取り)増加について」で紹介した「ザ・ゴール」の引用を読むと、それは単なる「局所最適化」に過ぎず、ファブ全体の生産性にはほとんど貢献していなかったのではないか、と思い直しました。ディスパッチャはリアルタイムに搬送システムに搬送指示を出すために、ディスパッチングルールはそれほど複雑なロジックを組み込むわけにはいきません。通常は、対象となるステーションを待っているロットのみを対象にして、それらのロットのデータのみから判断して、どのロットを装置に割当てるかを決定します。もちろん工場全体を見て最適なロットを判断すればよいのですが、それを行うことは非常に計算負荷がかかり、リアルタイムに応答するのが困難になります。それでディスパッチングルールとして自分のステーションのみを考慮していたのですが、これは局所最適を試みただけであって、全体最適ではなかったのだろう、と今では考えています。